この数週間の間で試したレンズ
Canon EF 24-70 F4L
Canon EF 24-105 F4L II
TAMRON SP 24-70mm F2.8 Di VC USD (Model A007)
この3本を GH4&GM5 + SpeedBooster EF to m4/3 に付けて 作動確認や写り具合を確認してみました。自分の用途に合った1本が見つかれば購入する予定です (というか購入しました)。
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画像はGH4 + SpeedBooster + EF24-105 F4L II。
- いずれも実際にGH4 + SpeedBooster に取り付け何十枚か試写を行い、 写真の写り具合や使い勝手などを比べてみました。(このページは撮影サンプルはありません)
- ※撮影サンプルを掲載したページは以下
Speed Booster + GH4 + EF 24-70 F4L と タムロン SP 24-70mm F2.8 A007の撮影データをチェックしたページ - 実際に試したのは2017年5月。
気が付けばシグマもタムロンも、もうすぐ新しい24-70mm F2.8 を発売する時期になってしまいました。モタモタしてるとダメですなあ(^_^; - この比較を行うに至った経緯は以下
ざっくりまとめると、EF 24-85 F3.5-4.5 より良く写り、手振れ補正が効く通しレンズが欲しい、という感じ。
先に結論
- すげー迷ったけど Canon EF 24-70 F4L を中古で買った。(AB品:6万9千円)
- 気に入ったから買った、というより消去法。
- 正直、あまり気に入っていない。6月にどうしても使いたい撮影があったので買った。
- もうすぐシグマとタムロンから新しい 24-70 F2.8が出る。
今度はメタボーン社から正式対応の発表が出るのを待ち、改めて考えよう・・・・という事になった。
- TAMRON SP 24-70mm F2.8 A007 はまともに作動しなかったが、撮影してて一番楽しかった。その写りにはかなり魅せられ、後ろ髪を引かれた。
- この3つの中では EF 24-105 F4L II が一番マトモに動いたが、写りに満足できず却下となった。
結論ここまで。
以下は各レンズのざっくりした使用感。
良かった点や購入対象から外した理由など。
Canon EF 24-105 F4L II
サイト内詳細ページ
- 良かった点
MFがすごく楽にできる。
手振れ補正がメチャメチャ効く。
動画撮影時の手振れ補正はLumix 12-35 F2.8より使い勝手が良い - 購入対象から外れた理由
EF 24-85 F3.5-4.5 と大差ない写り (多少はマシというレベル)
焦点距離によっては 周辺流れが EF 24-85 F3.5-4.5より大きくなる。 - 購入対象から外す理由にはならないけど悪かった点
ズームリング重すぎ
この写りで795gはちょっと不満。
TAMRON SP 24-70mm F2.8 Di VC USD (Model A007)
- 良かった点
F2.8 (GH4側でF2.0) のズームレンズはやはり楽しい。
中央の画質は、比較したレンズの中でイチバン
手振れ補正はかなり効く。
動画撮影時の手振れ補正はLumix 12-35 F2.8より使い勝手が良い
被写体との距離が5m以下の場合、AFはかなり早く正確
ズームリングとMFリングの位置やトルクが私好み。三脚に乗せて動画撮影する時に操作しやすい - 購入対象から外れた理由
AFで無限遠が出ない(MFで無限遠は出る)
被写体と15m以上離れると AFの歩留まりが50%を切る
MFで距離計がバグる。
GM5では手振れ補正が効かない (シャッター半押し後や動画撮影時に効かない) - 購入対象から外す理由にはならないけど悪かった点
絞り値が変わる時に「チャッ」と小さな音が出る
AF時に小さなモーター音が聞こえる
周辺部は (許容範囲内だが) 画質が落ちる
Canon EF 24-70 F4L
- 良かった点
とても高画質。
周辺部の画質劣化が少ない
中央部の解像度
- SP 24-70mm F4 > EF 24-70 F4 ≧ SP 24-70mm F2.8
SP 24-70mm F2.8 と EF 24-70 F4L、中央部分は大差ない。
- SP 24-70mm F4 > EF 24-70 F4 ≧ SP 24-70mm F2.8
- 購入対象から外れた理由
4K動画撮影時、タッチフォーカスの反応が悪い (タッチしてからAFが作動するまで1秒くらいかかる)
※他のレンズが残念過ぎたので我慢することにした。 - 購入対象から外す理由にはならないけど悪かった点
手振れ補正の効きが悪い。1段分くらい。
動画撮影時のAF速度が非常に遅い (EF 24-85 F3.5-4.5 の倍くらいかかる)
各レンズの寸評ここまで。
以下、写り、AF性能、手振れ補正など、各項目の比較順位や感想など。
写り (中央部)
- SP 24-70mm A007 (F4の時)
- EF 24-70 F4L
≧ SP 24-70mm A007 (F2.8の時) - EF 24-105 F4L II
≒ EF 24-85 F3.5-4.5
勝者 SP 24-70mm A007
EF 24-70 F4L と TAMRON A007 はホントに差が無い。どちらも良く写る。この2つは評価がレビューサイトによって逆転しているのがよく分かる結果だった。
写り (周辺)
- EF 24-70 F4L
- SP 24-70mm A007 (F4の時)
- SP 24-70mm A007 (F2.8の時)
- EF 24-105 F4L II
≒ EF 24-85 F3.5-4.5
勝者 EF 24-70 F4L
次点 SP 24-70mm A007
- EF 24-70 F4L は GH4 + SpeedBooster の画像周辺でも殆ど画質悪化していない。
- SP 24-70mm A007 は悪化しているものの、気にならないレベル。
- EF 24-105 F4L II と EF 24-85 F3.5-4.5 はかなり気になる周辺流れが発生
EVFを覗いた時の画質
EF 24-70、EF 24-105、SP 24-70mm A007、どれも問題なし
- EF 24-70 F4L、SP 24-70mm A007、まったく問題なし。
- 24-105 F4L II
上の2本と同等、まったく問題ない画質にみえる。しかし撮影データは EF 24-85 F3.5-4.5 よりチョット上程度の画質。撮影データに差が出るのが不思議。 - EF 24-85 F3.5-4.5
ファインダー覗くと凄く荒れた画質なのに、撮影データは EF 24-105 F4L II に肉薄するレベルなので不思議。
大きさ・重さ
- EF 24-85 F3.5-4.5 ・・・・380g 全く問題なし。この2年使いまくった。
- EF 24-70 F4L ・・・・600g 写りを考えると、まあ我慢できる
- SP 24-70mm A007 ・・・・825g 重いけどこの写りとF値があれば我慢できる、、、というか撮ってて楽しかった。積極的に持ち出したくなる1本だった。
- EF 24-105 F4L II ・・・・795g この写りでこの重さはチョットなし。
イチバン重くて嵩張るのだけど、この項目の勝者は SP 24-70mm A007にしたい。
手振れ補正 (スチル)
- EF 24-105 F4L II ・・・・約3段分
- SP 24-70mm A007 ・・・・約2段分
- EF 24-70 F4L ・・・・ 約1段分
- EF 24-85 F3.5-4.5 ・・・・なし
勝者 EF 24-105 F4L II
- EF 24-70、EF 24-105、SP 24-70mm A007、いずれも GH4 + SpeedBooster で手振れ補正は (多分) 正常に作動した。ただしSP 24-70mm A007 は GM5 + SpeedBooster では手振れ補正は正常に作動しなかった。
- EF 24-105 F4L II
ビックリする位に手振れ補正が効きまくる。LUMIX 12-35 F2.8や14-140 F3.5-5.6より効いているんじゃないかと思ってしまう。 - SP 24-70mm A007
EF 24-105 F4L IIほどは効かないが、手振れを一切気にせず撮影できるレベル。 - EF 24-70 F4L
公称で撮影倍率0.5倍で3段、撮影倍率0.7倍で2.5段、最大で4段分の手振れ補正となっているのだけれど、そこまで効いている実感はない。
「ハイブリッドIS」は作動しないのかな? - その他
SpeedBooster のファームがv2.6以下だと、AF/MF切り替えで手振れ補正が効かなくなる場合がある。
手振れ補正 (動画)
- EF 24-105 F4L II ・・・・動画の手持ち撮影でも使える。Lumix 12-35 F2.8より動画向き
- SP 24-70mm A007 ・・・・動画の手持ち撮影でも使える。24-105 F4L IIほどは効かない。GM5では作動しない。
- EF 24-70 F4L ・・・・ 動画の手持ち撮影は無理
- EF 24-85 F3.5-4.5 ・・・・なし
勝者 EF 24-105 F4L II
EF 24-105 F4L II と SP 24-70mm A007 は十分使えるレベルで作動する。
EF 24-70 F4L は「体育館での三脚撮影 (床がドンドン揺れる)」や「三脚に手が当たって微妙な振動がカメラに伝わった」という突発的な微ブレは十分に抑えてくれるが、手持ち動画撮影はブレブレになる。
その他メモ
EF 24-70 F4Lの周辺画質が良好なのは、手振れ補正で無理をしていないからなのでは?と感じた。
操作のしやすさ(MF)
※この順位は個人的な主観が大きくなっていると思う。
- EF 24-105 F4L II
- SP 24-70mm A007
- EF 24-70 F4L
- EF 24-85 F3.5-4.5
勝者 EF 24-105 F4L II
- EF 24-105 F4L II
フォーカスリングはホントに滑らかかつ適度な重さ。
カメラとの重量バランスで程よい位置にズームリングがある。 - SP 24-70mm A007
フォーカスリングははじめは狭く感じるが、意外とすぐ慣れた。
動画撮影を考えた場合、このレンズのようにズームリングが前で大きく、フォーカスリングが奥で小さい方が助かる。 - EF 24-70 F4L
フォーカスリングが軽すぎてちょっと操作しにくい(中古だからかな?) - EF 24-85 F3.5-4.5
MF操作性は (仕方ない事だけど) この中では論外レベルに悪い
MFの挙動メモ
- いずれもAF中にMFできる。MFリングを回すと MFアシストが自動的に作動する。
- 手振れ補正ありのレンズだと MFアシストがメッチャ楽だ、という事に今更のように気が付いた。
- EF 24-105 F4L II
ビックリするくらいMFしやすい。手振れ補正が優秀でMFアシストでも拡大中もビシっと止まる。 - EF 24-70 F4L
手振れ補正の効きが弱いため、撮影自体は問題ないがMFアシスト中は少し心許なかった。 - SP 24-70mm A007
MF操作そのものは EF 24-105 F4L II と同様に行いやすい。
ただし撮影データに影響はでないものの、電子距離計がバグった動き (遠近(左右)に激しく行ったり来たり) をする。AFとMFを交互に繰り返していると、AFが全く動かなくなる事もある。
- http://www.metabones.com/article/of/EF-M43_Firmware_Win
Firmware update V2.5
Fixed issue with Tamron VC USD where autofocus may occasionally become inoperative.
Firmware update V2.3
Fixed an intermittent focus inaccuracy issue with Tamron 24-70/2.8 VC USD A007 lens on Panasonic cameras.
▲これで修正されていると思うのだけど、発生する。
- http://www.metabones.com/article/of/EF-M43_Firmware_Win
操作のしやすさ(ズーム)
- SP 24-70mm A007
- EF 24-85 F3.5-4.5
- EF 24-70 F4L
- EF 24-105 F4L II
勝者 SP 24-70mm A007
- SP 24-70mm A007
ズームとフォーカス、両方の操作性のバランスが取れている 。適度な重さがありスムーズに回せる。 - EF 24-70 F4L
ズームリングがカメラに近すぎ。三脚で撮影する場合、上手くズームレンズを回せない。あと妙なカサ付きがあり動画撮影時はスムーズに回せない。 - EF 24-105 F4L II
ズームリング硬すぎ。
ズーム中、タル型から糸巻き型への移行がかなり不自然なズームレンジで急激に訪れる。動画撮影でズームしているとたまに気持ち悪い絵になってしまう。
AF (スチル)
- EF 24-105 F4L II
- EF 24-70 F4L
- EF 24-85 F3.5-4.5
- SP 24-70mm A007
勝者 EF 24-105 F4L II
新しいレンズ、純正レンズの方が有利・・・・という感じ。
ただし、いずれも LUMIX 20mm F1.7 より数倍早い、というレベル。
いずれも屋外で空を大きく写すような使い方をするとAFが迷いまくる。
TAMRON SP 24-70mm A007 は被写体までの距離が約15m以上になるとAFが迷うようになる。無限遠ではAFが全く合わない。
余談
※5m未満の距離では SP 24-70mm A007 が一番早くて正確。
※AFCは作動しないモノだと思っているので、どのレンズもテストすらしていない。
AF(動画)
動画撮影スタートした後の「タッチパネルAF」の効き具合を評価した項目
- EF 24-85 F3.5-4.5
- EF 24-105 F4L II
- EF 24-70 F4L
- SP 24-70mm A007
勝者 EF 24-85 F3.5-4.5
- 満足に作動したのは EF 24-85 F3.5-4.5 と EF 24-105 F4L IIのみ。
- 動画撮影時に一番レスポンスが早く、正確に作動するのはEF 24-85 F3.5-4.5。
- 古いレンズなのに何故だろう?
- 構造がシンプルな方が正確に動くのだろうか?解像度が低い方がAFに有利なのだろうか?それともSpeedBoosterのファームに問題があるのだろうか?
- EF 24-70 F4L はタッチパネル でAF操作すると、AFが反応するまで若干のタイムラグがある。4K動画を撮影する場合、タッチしてからAF作動するまで1秒以上待たされ使いものにならない。AFが迷う頻度もかなり多い。
- SP 24-70mm A007 は コントラストAFの行ったり来たりの幅が安定しない (大きく動いたり小さく動いたりの差が激しく、移動速度も速かったり遅かったり、不安を覚える挙動) 大事な撮影で使うのを躊躇うレベル。無限遠は合わない。15m以上の距離では作動は全くアテにならない。
TAMRON レンズのAFについて
- メターボンのサイトでもSP 24-70mm A007 はAFが正常作動しない旨が記載されている。→ Canon EF Lens to Micro Four Thirds T Speed Booster ULTRA 0.71x
- マイクロフォーサーズマウントアダプターを楽しむ6 [転載禁止](c)2ch.net
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/dcamera/1439469813/
上記スレッドを読むと、KIPONのアダプターでもTAMRON レンズのAFは鬼門の模様。
SP 24-70mm A007のAFはファームウェアのアップデートでも改善しないかもしれない。
AF (作動音)
- EF 24-70 F4L
24-105 F4L II
EF 24-85 F3.5-4.5
いずれもAFのモーター音は聞こえない。動画撮影時もよっぽど静かな所で撮影しない限りモーター音は記録されない (レンズが止まる時の小さな「コン」という音は記録される) - SP 24-70mm A007
小さいながらモーター音が聞こえる。動画撮影時も記録される。気になるかならないかは 個人によって評価が分かれるトコ。
ズーム時のフォーカスシフト
EF 24-70 F4L、24-105 F4L II、SP 24-70mm A007、いずれもズーム時にフォーカスシフトが発生した。
※EF 24-85 F3.5-4.5 はズーム時のフォーカスシフトは(多少は発生するものの) 動画撮影中のズームなどでは実用上問題ないレベル。
絞りの音
EF 24-70 F4L、24-105 F4L II は無音。
SP 24-70mm A007 と EF 24-85 F3.5-4.5 は絞り値を変えるたびに小さな「チャッ」という音が鳴る。
※2013年以降に発売されたTAMRON レンズ、2009年以降に販売されたCanonレンズ、2016年以降に販売されたシグマレンズ はSpeedBoosterでもスムーズ絞りが作動する (2016年6月 Firmware update V2.3 で対応)
手振れ補正のモーター音
EF 24-70 F4L、24-105 F4L II、SP 24-70mm A007、いずれも気になるようなモーター音はなし。
(参考: 24-105 F4L I型は手振れ補正で小さなモーター音がする)
絞り変更時のフォーカスシフト
EF 24-70 F4L には「絞り変更時にフォーカスシフトが発生する」という問題があると言われているが気にならなかった。
バッテリー消費の問題
- SP 24-70mm A007 は 「カメラの電源をOFFにした際にも バッテリーが消費される」という問題が発生する(場合がある)と言われているが、手元の個体では発生しなかった。
- ただ、いずれのレンズも (m43レンズと比較して) 巨大であるためか、手振れ補正の消費電力が大きい感じ。バッテリーの消費が 2倍以上早く感じた。
- ここ2年ほど、手振れ補正は常にOFFで撮影していた。上記「2倍以上」は「手振れ補正をOFF」にした時との比較。
三脚に設置した時の図
いずれも大きなレンズなので、三脚を使う時に三脚座と雲台の間に余裕がない。
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写真はEF 24-105 F4L II を使っている時のもの。
赤矢印の部分、レンズと雲台の間が5mm程度しか空いていない。
各レンズを三脚で利用した際のイメージ図
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SP 24-70mm A007 は「最大径108.5mm」もあり、三脚で使えないのでは・・・・と思ったがギリギリ使えた。
逆に、一番小さい EF 24-70 F4Lはズームリングが雲台の内側に入ってしまい、逆に使いにくかった。
その他
SP 24-70mm A007 + SpeedBooster の「F2.0 ズーム」の面白さにすっかり魅了されてしまった。レンズの重さも忘れ、アレコレ撮りまくった。マジで楽しいと思った。
総合判断
- 正直なところ、無限遠までAFが正常作動して、MFの距離計が狂わなければ、その他の不具合には目を瞑ってSP 24-70mm A007 を選んでいた。
- 周辺画質がもう少しマシであれば、ピクセル等倍の画質が 24-85 F3.5-4.5より明らかに上であれば、EF 24-105 F4L II を選んでいた。
- 比較した中で、EF 24-70 F4L が勝っていたのは「周辺まで画質が良い」という部分のみ。「この部分が許せない」という致命傷が無いだけの中庸なレンズだった。
良いレンズを買ったなあ、と思いつつも、「仕方なく選んだ」という面が大きいためにあまりテンションが上がらない・・・・というのが正直なところ。
このページの続き
実際に撮影した画像をチェックしたページは以下で公開しています。
Speed Booster + GH4 + EF 24-70 F4L と タムロン SP 24-70mm F2.8 A007の撮影データをチェックしたページ