デジカメ画像などで肌色がキレイに補正できない時は、その多くの場合で、肌色部分に赤や黄色の成分が多くなり過ぎています。
思い切って青の成分を増やしてみると上手く補正できる事が多いです。
分かりやすい例を出すため、ネット上で拾えるデータを元に修正してみました。
▲画像の元は「PUNCH LINE!しょこたん♥でんぱ組(初回生産限定盤)(DVD付)」
画像左がオリジナル、右側が私が補正した画像です。
- 右側の写真の方が少し赤みがかった写真に見えますが、実際には「赤成分は減らし、青成分を増やす」という処理をしています。
- あと、結果を分かり易くするために、彩度をかなり上げています
(実際にはもう少し低彩度の方がキレイに見えます)
恐らく左の方が実際の人の肌の色に近いのですが、右の画像の方が透明感のある肌に見えませんか?
あと、青成分を増やした筈なのに、肌色は赤が濃くなったように見えます。不思議ですねえ。
どんな補正をしたか?
以下のようにトーンカーブをいじりました。
▲クリックで拡大
今回の例では、ハイライト側を中心にブルーを持ち上げました。
(写真によっては、全体的に持ち上げたり、シャドウ部分を中心に持ち上げた方がキレイに見える場合があります)
赤成分は、ほんの少し下げました
▲クリックで拡大
大抵の場合で、本当にチョットだけ赤を少なくすると良い感じになります。
今回の場合、彩度も少し上げています
肌色の彩度や明るさは、上げた方が良く見える場合と、下げた方が良く見える場合があります。
今回の写真の場合は、彩度は下げ、少し明るくしたほうがキレイに見えると感じたのですが、比較画像を分かりやすくするため、あえて彩度を上げています。
YMCKでも補正可能
青を増やすというTipsは、YMCKでも利用可能です。
▲クリックで拡大
A・・・RGBで補正。彩度を少し上げた後、ブルーの中間を持ち上げた
B・・・オリジナル画像
C・・・YMCKで補正。彩度を少し上げた後、シアンを持ち上げ、イエローを下げた。
注意点
上記で挙げたTipsは、室内(蛍光灯や白熱灯の元)で、ホワイトバランスを間違えて撮影してしまった場合は通用しません。
電球や蛍光灯の光には、光の波長の一部しか出ていないものが多く、後から頑張って補正しても、欲しい色が出ない場合があります。
蛍光灯の分光分布図の一例
こういう光源の元では、ホワイトバランスを正しく設定しておかないと後から補正してもキレイな肌色は出ません。
上記のような光源の場合、光そのものに赤が足りていません。この場合は、赤の成分が増えるような補正をするとキレイな肌色が出る場合がありますが、写真全体も赤っぽくなります。
現在、色々な写真で「青を増やして肌色をキレイにする」Tipsを試していますが、晴れの屋外、曇りの屋外、日陰、ホワイトバランスを正しく設定した室内撮影などの場合は、キレイな肌色が再現できています。
その他のTips: ローカルコントラスト
アップで撮影した場合は、「ローカルコントラスト」を下げてやると良い感じに肌の荒れやシワなどが目立たなくなります。
サンプル(別の写真:目元のアップ)
まつ毛などの部分はディティールをほとんど失う事無く、肌の凹凸が滑らかになり、同時に肌が透き通ったような感じに処理されます。
PhotoShopの場合は「HDRトーン」を利用します
▲クリックで拡大
HDRトーンはここにあります。
他の画像編集ソフトの場合、[明瞭度] [ローカルコントラスト] [ローカルトーンマッピング][トーンマッピング]などの名称で同様の機能が付いている事もあります。(検証していないけど)「ワープシャープ」や「アンシャープ」機能がマイナス方向に指定できるツールの場合は、そちらでも代用可能かもしれません。
HDRトーンは、これくらいの設定で処理してみました
▲クリックで拡大
このTipsのキモは「ディティール」です。ここを-70~-30くらいの値に設定すると肌が滑らかになります。
デフォルトの設定で利用すると、画像全体が不自然に明るくなりすぎたり、彩度が上がりすぎたりするので、[露光量]や[彩度]は低めの値に設定しなおします。
本文はここまで。
以下はこのTipsを発見した経緯や、個人的な感想などです。
事の始まり・発見の経緯
最近、キャノンの30年前のレンズ(NFD 35-105 F3.5)を使ってデジカメ写真を撮る事にハマっています。このレンズは非常に青が強く写るレンズなのですが、何故か肌色も非常にキレイに写ります。
「何故こんなコトになるのだろう・・・?」と不思議に思い、様々な写真で色補正の実験をしてみた所、今回記事にした「青を強くすると肌色がキレイに感じる」というTipsを発見しました。
その他注意点
肌色は本当に微妙なバランスです。
- 夜、蛍光灯の元で補正した画像を昼間に見ると、とんでもなく紫っぽい肌色に見えちゃう場合もあります。
- 逆に昼間に補正した画像が、夜に見ると黄色や緑が強く見える場合もあります。
- 画像を縮小リサイズしたり、サムネイル化したりすると、肌色が全然違った色に見えてしまう場合があります。
プロの方が写真の補正をする場合、おそらくそういう部分も含めて「どういう肌色にすべきか?」を決定しているのだと思います。
過去の経験とグチ
私は2~3年ほどDTPの現場で働いていたコトがあります。
当時、私が修正した人物写真に対し、「肌色が汚い、赤を増やせ、黄色を増やせ、彩度を上げろ」などという指示を何度も喰らいました。でも、全然肌色はキレイにならないんですよねー。
挙句の果てに2~3箇所の色修正の上手いフリーランスの方の事務所に修行に出されましたが、そこでも「汚い肌色はトーンカーブで赤を増やして、彩度を上げればOK」と教わりました。
うーん。なんだろコレ。どう考えても 逆を教わっていたとしか思えません。
ちゅうか、この当時の私は、既に肌色に青を混ぜる方法を知っていたのですが、私の直属の上司はこの手法を全否定していました。
「肌色に青を混ぜるのはタブー」「マゼンダに見える肌色はタブー」という風潮があったように感じます。
今でも理由が全然分からないのですが、肌色にほんの少しでも青やマゼンダが含まれていると即アウトでした。当時の私が「TVや雑誌には、肌色が青や紫っぽく写っているコンテンツが一杯ありますよね?」と聞いても誰も認めてくれない世界でしたよ。
さらに おまけ
女性向け健康食品などのTV CMで、タレントさんが 不自然なほど青白い肌に補正されて放送される場合がありますが、これは、
- 青を強くした方が肌色が透き通って見えたり、キレイに見えたりする事を応用している。
- 夜、白熱灯タイプの電球下でTVを見ている、または夕方にTVを見ている事を想定している。
この どちらかが理由なんだなあ・・・と思うようになりました。
ちゅうか、こういう肌色でOKが出るトコが羨ましいです。
とりあえず、今回のTipsが解っても、「肌色は奥が深い」という事に変わりはないですねえ。