2019.10.16: 紹介した自作ケーブルが壊れてしまったので記念更新
2015.04.02: 初出
タイトル通りです。
「一般的な5VのUSBモバイルバッテリー」から、デジカメGH4やGM5に給電できる「5V→8.4V DC-DC昇圧ケーブル」を自作してみました。
GM5に付けてみた図
▲クリックで拡大
自作 5V→8.4V 昇圧ケーブル で動画撮影中。
※上記写真に写っているもの
・自作ケーブル (養生が済んでいない時点で撮影したもの)
・デジカメ: Lumix GM5 (8.4V DC電源が必要)
・モバイルバッテリー: cheero Power Plus 2 (5V出力のみ)
2019.10.16 追記
このページで紹介している自作ケーブルは、デジカメ GM5 の動画撮影 (2~3時間の長回し) を、テスト撮影含め 8~10 回程度行った時点で壊れてしまいました。
- 最初は「雑に扱った事による断線もしくはハンダ剥がれかな?」と思ったのですが、確認したところ 回路が壊れているようで、5.0V → 5.5V 程度の昇圧しか出来ない状態になっていました。
- このモジュールの上限ギリギリの出力で利用していた筈なので、これくらいの使用回数で壊れるのは仕方がないのかもしれません。。。
- とりあえず実践投入中に壊れたワケではないので、実害が出なかったのはラッキーでした。
さらに追記
最近 流行の「Quick Charge モバイルバッテリー」の 9V/12V 出力をデジカメ等で使いたい場合、どのようにすればよいかを解説してくれているブログを見つけたのでメモ。
- Quick Charge 2.0 モバイルバッテリーで 9/12V 生成し、デジカメ・DMC-G7 に給電 - ブログ/こばさんの wakwak 山歩き
- Quick Charge 2.0 から 9V/12V を出力させるデバイス (ATTiny13A) | tech - 氾濫原
なるほど意外と面倒くさい。
あと、5V-9V 昇圧は XL6009を使ったモジュール の性能が良さそうなコトが分かった。
※ ただし同商品は、「最大出力電流:3A」ではなく「最大入力(というか内部的な電流?) 電流:3A」であり、放熱不足の際は破裂するとの事で注意が必要。
※ 同チップには後継機 XL6019E1なるものが存在しており、こちらは5Aまで対応。モジュール化が待たれる。
追記おわり。
以下、昇圧ケーブルを自作した当初の記録です。
モバイルバッテルーは、5V のUSBポートから出力しています。
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後述しますが、2.1A 以上の出力のポートでなければ安定作動しません。
色々テストしてみた感触では、3A前後の出力が欲しい感じです。
作動テストの結果
残念ながら、正常作動するとは言い難い、不安定な結果になりました( ̄▽ ̄;)
- GM5でテスト
- 静止画撮影: 20枚ほどテストOK
- 1920x1080 60P: 2時間の長時間撮影OK
- とりあえず安定。
- GH4でテスト
- 静止画撮影: 20枚ほどテストOK
- 4K動画撮影: 3回チャレンジ、いずれも15~25 分で電源が落ちた。
- 電源が落ちた時の状況
- 4K動画撮影中。いずれも何も操作を行わず、放置している状態の時。
- 何の前触れも無く落ちた。
- 露出、ISOの変更、AF作動、被写体の急激な明るさ変更などの操作もかなり行ったが、その時は異常なし。
- MFフォーカスピーキング作動中も問題なし。
- 4GBスパニングのタイミングでエラーが発生したわけでは無い感じ。トラブル発生時の最後の1ファイルは、1.2~3.7GBの間でバラけている。
- そんなに電力が必要ではない状況で電源断が起きている。
- 4K撮影を3回行った後は、静止画でもシャッターが切れない状態になってしまった。(メカシャッターが開いたままの状態になり危険!)
- 電源が落ちた後は、復旧にバッテリーの抜き刺しが必要な状態になる。
- GH4でテスト - 2回目
DC-DCコンバーターの出力電圧を9.1Vに昇圧して再テストしてみた。- 9.1Vにした理由
※参考: 手持ちのGH4に利用できるモバイルバッテリー
・RAPHAIE LI-MB4000 ・・・・実測 9.17V
・RAVPower RP-PB11 ・・・・実測 9.33V - 結果
4K動画撮影・・・やはり15分程度で電源が落ちる
写真撮影 ・・・・やはりシャッターが落ちない
- 9.1Vにした理由
- DC-DC昇圧コンバーターとバッテリーについて
- 今回使用したモバイルバッテリーと昇圧コンバーターのどちらか一方、または両方が、GH4で利用するにはスペックが足りない感じ。
- 個人的な予想だけど、昇圧コンバーターは作動範囲のモノを選べたと思っている。
- 根拠はコンバーターの発熱が想像以上に小さかったから。
キャパの限界で利用すると、かなり発熱するらしいが、FHD60P、4K30P、いずれも大した発熱はしなかった。詳細は後述。
とりあえず5V 2.1A 以上の出力可能なUSBモバイルバッテリーを接続すれば、GM5は安定作動する感じです。しかしGH4の作動は非常に不安定です。
購入・自作したDC-DCコンバーターが出力不足となったのか、4K動画撮影の要求電力にモバイルバッテリーが耐え切れず、出力不足を起こしてしまったのか、判断は付かず・・・・という結果になってしまいました。
もう少しチェックしてみる
GH4、GM5、自作 5V→8.4V USB昇圧ケーブルの3点にはダメージは無い感じですが、モバイルバッテリー「cheero Power Plus 2」はちょっとパワーダウンしてしまったように感じます。
このモバイルバッテリーは、GoPro長時間撮影用の重要アイテムだったので、改めてGoProの長時間テストを行う必要がありそうです。。。
とまあ、非常に残念な結果となってしまいました ('Α`)
GH4側でマトモに作動しなくなった後も、とりあえずGM5側はシャッターも切れますし、FHD60P動画も撮影可能ですが、これ以上の検証を行う事に不安を感じ、ここで終了となりました。
工作の詳細メモ
今回の試みは儚くも失敗に終ってしまいましたが、とりあえず詳細メモもアップしておきます。
今回のキモとなるDC-DC昇圧モジュール
▲私の拙いはんだ付け中の写真
コイツが2.7~5.5Vの電圧を5V~24Vに昇圧してくれます。9V出力時、800mAくらいまでは安定して出力してくれます。
自作・・・と言っても、USBケーブルをちょん切ってDC-DC昇圧モジュールをはんだ付けしただけなのですが・・・少し老眼が始まった40代のおっさんが、約30年ぶりにはんだごて握って頑張りました(^_^;
事のはじまり
2015年1月13日の更新でも紹介したのだけれど、「USBモバイルバッテリー GHシリーズ外部電源変換アダプタ GH4 GH3」という商品を発見。
5V出力のモバイルバッテリーがGH3/GH4に使えるだと・・・?
こいつが気になって気になって仕方が無い。しかし、一向に発売される気配がない。
(※自作した今になって考えると、モバイルバッテリーとの相性も含め、様々な環境で安定作動させるのが難しいから販売できないのかな?と感じます。)
そして、Twitterでこんなやり取りも行っていました。
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まあ、色々な障害があって工作する自信がなかったのです(^_^;
何が面倒臭かったか
- 出力600~900mAで安定作動する 5V→9Vの適当なDC-DC昇圧モジュールを探すのが面倒臭かった。
- というか電子工作の知識は皆無に等しく、適切なモジュールを探せる自身が無かった。
- そろそろ老眼が始まるお年頃なので、基盤のはんだ付けのような細かい作業はもう自信が無い。というか、去年あたりからジャンプの巻末作者コメントは読めなくなった。
- この工作のためだけに、半田ごてなどの道具一式を揃えるのが少しバカらしかった。
「んじゃあ、適当な既製品を買えば良いじゃん?」という考えもありますが、現在 入手可能な製品は「5V →9V、500mAまで」「定格以上の電流を流すとスグ壊れる」という製品が殆どで、購入も利用も不安が募るモノばかりです。
工作を思い立ったキッカケ
Twitter上で頑なに拒んでいた工作を 今になって試してみたのは、押入れの中から古い半田ごてを 発見したからですw
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これ、中学~高校時代に使っていたヤツですわ。懐かしいww
商品名「グッド AK-30」。Google先生で検索しても同じこては出てこない。相当年季の入ったシロモノ。
こいつが無事に通電してくれたお陰で、約30年ぶりに電子工作してみようと思い立つことが出来ました。
DC-DC昇圧モジュール探しを開始
色々探したけれど、とりあえず以下をチョイス
- LM2735 昇圧型DC-DCコンバータモジュール
- 900円
- 入力2.7~5.5V、出力5V~24V
- 自分の好きな電圧に調整できる。リンク先に細かい仕様あり。
かなり詳しく商品説明されていて、初めての挑戦でも安心して購入できる。 - 私の利用目的の電圧ならば、電力の変換効率も90%前後あり、かなり優秀。
- まあ、コイツも壊れ易い製品のようだけど、「こういう使い方をすると壊れる」という説明も具体的で、ある程度は安心して使えそう。
- 5V入力、9V出力の場合、800mAくらいまで安定して出力できる。
(安全作動領域は400mAくらい。9V 1000mA以上はデータシートなし)
- Lumix GH/G/GF/GMシリーズで動画撮影を考えた場合、恐らく安定出力の容量ギリギリ。
- FHD動画撮影でほぼマニュアル操作すればイケるかなあ。と思っている。
- 今回買ったモジュールはまだ壊れたワケではないけれど、もう少し容量に余裕のありそうなモジュールを選択すれば良かった気がする。
- Lumix GH/G/GF/GMシリーズで動画撮影を考えた場合、恐らく安定出力の容量ギリギリ。
- 900円
昇圧モジュール/その他の候補
- [ShopU] USB電源モジュール 3-5V→5-9V 【昇圧型・可変出力】
- 昇圧型DC-DCコンバータモジュール 5~30V → 6~40V 最大5A -SzParts
- 5Vから24Vに! 昇圧 DC/DCコンバーター電源 出力5~27V 1A -イトウ電子部品
キーワード「昇圧モジュール」で検索するのが良い感じ。
上記3点は私が選択したLM2735よりも容量が大きそうなモジュールっぽいけれど、マニュアルが不親切で最初に購入する製品としては躊躇してしまった。
変換効率とか、どの位で壊れるとか、目安が全然わからんのだ。
商品が届きました
コイツがDC昇圧コンバーター本体
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懇切丁寧な取扱説明書が同梱されています。
本体は100円玉より小さいです・・・小せえ(((( ;゚Д゚)))
失敗した時のため、2セット購入しました(^_^;
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これで失敗を恐れず、ガツンと工作できます。
30年ぶりのはんだ付け
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1mm以下の精度ではんだ付けできるか心配だったけど、意外となんとかなった。
配線は取扱説明書に書いてあったので迷わずに済んだ。
通電チェックと電圧調整
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5Vバッテリーと接続し、極小ドライバで基盤上の電圧調整ボリュームを調整。
何度もネジネジしているうちにコツを掴み、8.4Vに調整できた。
白く写っているのは、短絡防止目的で一時的に挟んだティッシュペーパーですw
8.4V 600~900mAで出力予定なので、放熱板としてアルミ板で挟んでみました
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このモジュールの販売元「ストロベリーリナックス」さんで売っている「高熱伝導シート/ラムダゲルシート」というものでアルミ板に密着させました。
最後に熱収縮チューブで全体を保護して完成ですヾ(*´Д`*)ノ
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今回の工作のために買ったパーツ&道具類
- LM2735 昇圧型DC-DCコンバータモジュール
- 900円 X2個
今回のキモ。上で既に説明したもの。
- 900円 X2個
- 高熱伝導シート/ラムダゲルシート
- 48円 X4枚
LM2735モジュールは規格ギリギリの出力を行うと結構発熱するらしいので、放熱板に密着させるために購入。
- 48円 X4枚
- USB→DC(外径4.7mm内径1.7mm)電源供給ケ-ブル
- 393円 X2本
Lumix GH4やGM5のカプラーは、センタープラス、4.7mm径のプラグが必要なのでこの製品をチョイス。
- 393円 X2本
- 0.3mm厚 アルミ板
- 341円
放熱板として利用。この厚みなら加工しやすい。
- 341円
- 電子工作用はんだ SD-63
- 404円
約30年ぶりの電子工作。100均のはんだはチョット信用したくないので、Amazon利用時についでに購入。
- 404円
- 三和(SANWA) クリップアダプタ CL-11
- 570円
LM2735モジュールは小型のドライバでネジネジしながら電圧調整する。
テスターは持っているけど、クリップを持っていなかったので購入。買ってよかった。これで固定しておかないと電圧調整は無理だった。
- 570円
材料費は合計で2704円 + 送料代引き手数料消費税700円くらい。
LM2735モジュールは極性間違えたり電圧超過したりするとスグ壊れるらしいので、モジュールとUSBケーブルは2個ずつ購入した。合計で約5,000円。
意外と高くついたけど、初心者が安心して自作できて、かつ欲しいスペックの商品が見当たらなかったので仕方が無い。
GH4およびGM5の規格
取り扱い説明書の仕様では、
GH4・・・モニター撮影時の消費電力 2.7W
GH3・・・モニター撮影時の消費電力 3.1W
GM5・・・モニター撮影時の消費電力 2.3W
- 静止画撮影の場合、8.4Vバッテリーで280mAを安定出力できれば良い事になるので、通常撮影は問題ないはず。
- しかし、GH4 (4K撮影)の場合、動画「実撮影可能時間」が「約90分」となっており、動画撮影中に色々な操作をする事を考えた場合、ピーク時は1250mAくらいの出力が必要な感じ。
- 8.4V X 1250mA = 5V X 2100mA なので、モバイルバッテリーの出力限界もだいたいこの辺。10%のロスを考えると、ちょっと出力不足という事になる。
- また今回買ったLM2735モジュールは8~9V出力時は1000mAが上限の目安。これもちょっと不足。
DC-DCコンバータ購入時およびテスト前の予測
- とりあえず「FHDモード、ズームとAF同時作動させない」・・・ってな操作ならば、経験上500~530mAくらいの出力で撮影できてる。
なので、今まで通りの撮影ならばコレでイケるかな、と思った。 - GH4の仕様を見ていると、4K動画撮影時はFHDの時より1.2倍の電力を消費する感じ。
という事は、今まで通りの撮影スタイルならば600~650mA程度の出力となり、このモジュールの定格範囲内でも作動できるかなあ、と思った。 - とりあえずGH4の動画撮影時に「連続AF有効にしてズームを繰り返す」という操作は恐らく無理と判断した。
しかし 検証結果は前述の通り、GH4の4K撮影は見事玉砕しました。
その後はメカシャッターも落ちなくなりました。
あとがき
やはりドコかのメーカーさんが作動を保証したDC-DCケーブルを出してくれるか、3A以上の出力も可能なモバイルバッテリーの登場を待つしかないですねえ。
それに加え、この昇圧モジュールの耐久性がどれくらいあるか・・・も心配です。
私の工作レベルが稚拙、かつ放熱用のアルミ板もかなりいい加減な取り付けなので、過酷な環境で利用したり雑な取り扱いしたりすると、突然死する可能性もあるかもなあ・・・と思ってしまい、せっかく苦労して作った変換ケーブルなのに、殆ど使わないままお蔵入りする事になり少々悶絶している所です。
おまけ:他バッテリーでの作動テスト
既に持っている 8.5~9V出力できるモバイルバッテリー・RAPHAIE LI-MB4000 ・・・・8.5V(実測9.1V)最大1.5A
・RAVPower RP-PB11 ・・・・9V(実測9.33V) 最大2A
こちらは、GH4の4K動画でも30分以上の動画撮影も、スチル撮影時のメカシャッターの作動も、正常作動を確認しています。
GH3時代にはかなり過酷な連続使用に耐えてくれた実績があるので安心していましたが、今回の失敗でGH4でも改めて耐久テストが必要な気がしてきました(^_^;
工作にあたり参考にしたリンク
工作にあたり、参考にしたリンクは以下。
- HL-EL540をUSBモバイルバッテリーで充電する | 自転車おじさんのブログ
工作する際はここを参考にした。 - HKHacks: DC-DCコンバータを購入してみた
LM2735 昇圧型DC-DCコンバータモジュールをオシロで計測。
このモジュールは「スパイクノイズ」のいうものがやたら大きいらしい。
なんか心配だけど、他に良い製品が見つからなかった。
30分後 追記
「スパイクノイズ」という言葉を初めて知り、その影響を色々調べていくうちに、GH4はスパイクノイズの影響を受けて誤作動したのではないか?という疑問も発生してきました。
IC回路の特性とか挙動とか、全然分からない素人の考えだし、今のところGM5は安定して作動しているので可能性は低いと思うけど、コイツの可能性も頭に入れておいた方が良さそうです。
何が原因でGH4が誤作動を起こしているのかサッパリ分からん。
やっぱり電子工作素人が手を出す領域ではなかったのですなあ( ̄▽ ̄;)