先に要点を簡単にまとめると以下
地デジTSファイルについて
PowerDirector11の生TS処理、なかなか優秀です。
音声切り替えが含まれていても、問題なく出力をしてくれます。
電波強度不足のエラーも、強引に処理を続けてくれます。
AviSynthとの相性について
avsファイルも仮想化すれば読み込みOK。
変換出力がすっげー高速。
PowerDirector11で直接読み込むよりも、AVFS経由の方が高速になります。
ただしインターレースの解釈が微妙になるので注意。
以下、その詳細。
まずはavsファイルの読み込みについてから
PowerDirector11でavsファイルの読み込み
AviSynthのavsファイルは、[PismoFile Mount Audit Package]+[AVFS]で仮想化を行えばPowerDirector11で読み込み可能。
メモリを大量に消費し、編集時のシークはかなり重くなるが、エンコード処理はPowerDirector11 で直にファイルを読み込む時より高速になった。
- Mpeg2素材をDGIndexで読み込んだ場合、変換速度15~30% 向上。
- H.264素材をDGAVCIndexで読み込んだ場合、変換速度3~10% 向上。
- DivX等のBフレームを含んだaviファイルをAviSynth経由で読み込むのは無謀。シーク・出力共に激重になる。
- 結構難しいコトやっているので、AviSynth初心者の人がいきなりコレにチャレンジするのは、避けたほうが良い。
- GPGPU機能は、AviSynth・PowerDirector11、どちらか一方でのみ利用すること。
PowerDirectorに限らず、AdobePremiereやLoiLoScope2などでも仮想aviファイルを読み込む事は可能でしたが、出力・変換速度がここまで高速化する現象はPowerDirector11のみで発生。
うまい具合にCPU処理が分散される感じです。
今までDGIndexが律速になる事が殆ど無かったので、古いバージョンを使っていても気にしてなかった。けどこれは何か新しいツールを探してみる価値がありそう。
注意点&コツ
- 音声部分は、仮想aviファイルを経由せず、別途PowerDirector11に読み込ませよう。または後からMUXするようにしよう。
- PowerDirector11は、aviファイルのフレームレートは29.97を正常なフレームレートとして認識する。
- AviSynth側でChangeFPS(29.97) を使っておこう。ChangeFPS(30000, 1001)を使うとフレームレートが正しくないと警告が出る。
- ちなみに、mp4やm2tsなどの直読みはフレームレート30000/1001 も正常なフレームレートとして認識する。コッチは変な心配をする必要なし。
- avi ファイルを読み込んだときは、フィールド情報のチェックが必須。
読み込むたびに[インターレース素材]として認識されたり、[プログレッシブ素材]と認識されたり、マチマチな結果になる。
- タイムラインに登録する度に「テレビ信号」の項目をチェックする事。
- 正しいフィールド情報を指定すれば、その後の出力でおかしな結果が出る事はなし。
- PowerDirector11とAviSynthの両方でGPGPU処理を行わないようにしよう。作動が不安定になるか、処理が破壊的に重くなる。
- AviSynthやDGIndexで色補正やノイズ除去などの各種フィルタをかけると、PowerDirector11側で補正処理をした時よりも遅い結果になる事が多い。PowerDirector11に任せよう。
- リサイズ処理も、AviSynth内で行うより、PowerDirector11側で行うほうが高速。PowerDirector11に任せよう。
- AviSynthを使う場合は、過度にシャープネスをかけたり、ノイズを除去したりしないようにしておこう。
- PowerDirector11は、家庭用ビデオカメラで撮影した素材を前提にエンコードエンジンにチューニングが施されている感じです。
- 各種フィルタ処理を行う場合、他エンコーダーを利用する時よりも軽めの処理を行う程度(または全く処理しない)のがベストな選択。
「AviSynthとの相性について」はここまで。
以下、生TSファイルの読み込みに付いて
地デジ録画ファイル・生TSファイルの読み込み
PT3、PX-W3U3、PX-W3PEなどを利用して録画した、「いわゆる生TS」も普通に読み込み・編集が可能。
▲クリックで拡大
そのまま読み込むと、メディアルームに4つの動画が現れます。
ワンセグや含めた4つセグメントすべてが分割されて表示されています。通常は括弧のついていない素材を選択します。(4)となっているものはワンセグ放送になっています。2ヶ国語放送や副音声がある場合、それらを選択する方法は未調査。
PowerDirector11のTS読み込みの大きな特徴は、以下の2つ。
- 音声切り替えに強い
- 5.1ch放送や2ヶ国語放送とCM(ステレオ)の音声切り替え時に、エラーが発生したり処理がおかしくなる事がありません。
- ニュース(モノラル)-CMや別番組(ステレオ)の切り替えが含まれる場合も同様。安定しています。
- 悪天候時の電波不足に強い
- PowerDirector9時代にも確認したけれど、悪天候時に録画したTV素材によくある「ドロップフレーム」や「映像の乱れ」などに異様に強いです。
- 他のソフトでは強制終了してしまうような素材や、音ズレが発生してしまうような素材でも、PowerDirector11はキチンと処理してくれます。
- さすがに映像が乱れた部分を回復させるような機能は無いけど、コレなかなかスゴイ事です。
- もちろん、通常の音ズレにも強いです。
タイムコードで音声と動画を同期されているので、何らかの理由で途中で音がズレても、スグに元に修正されます。
極端な例(画像はPowerDirector9時代のもの)
今年の冬は比較的電波状況が良く、ここまで極端な素材が入手できないので確信は持てませんが、PowerDirector9の頃はこんな素材でも強制終了する事なく、最後まで出力可能でした。PowerDirector11も恐らく出来るはず。
乱れた映像の回復まで出来るワケではありませんが、他のエンコードツールでは何をどう使っても強制終了してしまい、全く出力できないでも処理してくれるので、ありがたい存在として重宝しています。