前回更新の続き。
Speed Booster利用時の被写界深度を考えてみる更新の、ひとまずの最終回です。
あらためてまえがき
「このブログの主(つまり私)は被写界深度について正しく理解していない」的なご指摘を、コメント欄・Twitter・その他アチコチのSNSで(たまに)いただくので、ちょっと自分で整理してみる事に。
- 整理してみた結果、多分 間違ってはいないのだろうけど、慎重に文章を選ばないと誤解を受けやすい、という事が理解できた。
- こうやって、長々と更新してみたけれど、読んでいる人に伝える情報としては「なんだか良く分からないページが出来上がってしまったなあ・・・」と云う感じになってしまった。
デジカメのセンサーサイズについて
まずはSpeed Boosterの話は抜きにして、センサーサイズと被写界深度やボケの量を考えて見ます。
おおよその数値だけれど、
縦横のサイズは「フルサイズ:APS-C:m4/3 = 1:0.7~0.66:0.5」
面積比にすると「フルサイズ:APS-C:m4/3 = 4:2:1」
になる。被写界深度やボケ量もこれに順ずる。
「同じ画角で撮りたい」場合、例えばフルサイズの50mmと同じ画角にするには、APSは32~35mm、m4/3は25mmの焦点距離にする。
この場合、センサーに光が入る画角は同じだが、フルサイズとm4/3ではボケ量が2段ぶん違う。
画角や明るさ、ボケの量について
同じ画角で同じボケ量を得るには?
※この図は「焦点距離の概念図」として見ると間違いがあると思います。その辺はスルーして下さい。
- 焦点距離が短くなると、F値が同じでもボケ量が減る。
- 例えばm4/3の場合、フルサイズと同じボケ量を得るにはフルサイズより2段明るいF値が必要。
- 同じF値・同じ画角で写す場合は、センサーサイズ・焦点距離の関係でAPS-Cは1段、m4/3は2段分、ボケ量が小さくなる。
- 「センサー全体」に入る「光の量」は、フルサイズ比でAPS-Cは1段、m4/3は2段少なくなる。(面積あたりの光の量はF値で同じになる)
スピードブースターを使った場合
- 一般的な光学縮小アダプタの場合、イメージサークルの直径が0.7倍小さくなる(面積は半分になる)。
- APS-Cの場合、フルサイズの画が丸ごとAPS-Cサイズに縮小される。
画角やボケ量は(フルサイズで普通にレンズを装着した場合と)変わらない。 - 小さい面積に光が集約される分、面積あたりの光量は多くなる(1段明るくなる)
- 例えばフルサイズ 50mm F1.4のレンズは、APS-Cセンサーで35mm F1.0相当の画角と明るさで撮れる。
- イメージはそのまま縮小されるので、APS-Cセンサーの場合は画角・ボケ量ともにフルサイズの50mm F1.4相当のまま記録できる。
- m4/3センサーの場合、APS-Cのイメージサークルの中央部分をクロップして使う事になる。
- m4/3の場合でも、35mm F1.0相当のレンズで撮っていると考えてOK。
- APS-Cセンサーで同じ画を撮る場合、これは50mm F1.4の画角とボケ量になるが、m4/3ユーザーは気にしなくて良い。
光学縮小系アダプターの特徴
※この図の光の集め方は間違っています。「明るくなる」という現象を掴み易くするために虫眼鏡で光を集めるようなイメージを描いています。
光学縮小系のアダプターは光を集光するので、イメージサークルは小さくなるが、光が集まったぶん明るくなる。
通常は0.71倍、約1段明るくなる。面積は半分(0.71x0.71)になる。
(例えば50mm F1.4のレンズは、APS-Cセンサーでフルサイズ50mmの画角のまま F1.0で撮れる (これはAPS-Cの35mm F1.0くらい) )
m4/3の場合、どうなるか
m4/3の場合、0.64倍、0.58倍など更に集光できる製品もあるけれど、大部分の製品は0.7倍。つまり、イメージサークルの大きさはAPS-Cと同じ。
- m4/3の場合、(APS-Cカメラでフルサイズ用レンズを使うような感じで) 中央をクロップして写すことになる。
- クロップ量は0.7倍(面積比0.5倍)。つまり、APS-Cを主観にして相対的にみればボケ量に関してはちょうど1段分低くなる感じでクロップされる。
- ただし、m4/3を主観にしてみる場合は、ボケ量が減ると考えなくて良い。
- 例えば フルサイズ 50mm F1.4のレンズは、SpeedBoosterで35mm F1.0相当になり、その中央部分をクロップする事になるが、これは m4/3用の35mm F1.0と同じ画角、同じF値、同じボケ量になる。
結論
ここまでなんだかんだと書いたけれど、例えば0.71倍の光学縮小系アダプターに「フルサイズ50mm F1.4」のレンズを付けた場合は、
「APS-C機」「m4/3機」どちらの場合も35mm F1.0相当のレンズを付けていると思って撮って問題ない。
APS-Cセンサーの場合はフルサイズのイメージサークルが全部利用できて、m4/3センサーの場合は中央部分をクロップして使うが、どちらも35mm F1.0相当の光が入ってきている。
ここから下は、私がまだ理解できていない部分
光学縮小で結像がシャープになる・被写界深度が深くなる
SpeedBoosterなどの光学縮小系アダプタを取り付けると、画質がシャープになったり、被写界深度が深くなったりする・・・という話もある。
この辺は私は良く分からない。
私の勝手な予想だけど、「イメージが縮小される事によって、デジカメの現像エンジンでシャープネスがかかる閾値内に入る範囲が増える」んじゃないかなあ・・・と思っている。
残念ながら、これを体感できるほどの経験は私にはない。また私の頭でいくら考えても、またネット上の情報を読み漁っても、この現象は理解できない。
・・・と言うことで、以下は仮説。間違ってたらゴメンナサイ。
仮説1
▲イメージが縮小される事により、デジカメ内の現像処理で、アンシャープマスク的なものの閾値内に多くのデータが含まれるようになった説。
仮説2
▲センサーに届く光の入射角が、デジタルセンサーに最適化されている説
- フィルムは斜めから入ってくる光もそれなりに現像する。
現在のデジタルセンサーの多くは、斜めから入ってくる光の現像が苦手。
ここが最適化されている。
その他の仮説
他にも、レンズの反射を抑えた特殊なレンズコーティングとか、オールドレンズの鏡筒内で乱反射した光だけを上手く吸収するようなしくみを備えているとか・・・色々推測できるけども、、、推測の域を出ない&私には体感できないレベルの話なのであまり深く考えないようにしてる。
このページの内容は以上。
以下、まとめ と あとがき です
あとがき
今回の一連の更新は、異様に長く、画像たっぷりになってしまった。
この解釈も間違っているようなら、私は被写界深度の事を根本的に間違えているコトになる。。。どうかこれが正しい解釈でありますように。
被写界深度については、「だいたいあってる」レベルから全く抜け出せる気がしない。それでも、改めて考え直してみても今持っている知識は「だいたいあってる」と考えて良さそう。
ただ、誤解を受けやすい文章だった事は気が付いた。
今回の一連の記事を書いてみて、ようやく自分で違和感を感じるコトができた。
結果、推敲に10日かかり、最初に書いた文章とこの文章は全く別物になった。
過去記事もできる限り修正しておこう、と思った。
誤解を受けやすかった部分まとめ
- 多分、現時点の私の理解は間違っていない
- ただし、私がセンサーサイズ、被写界深度、ボケ量の関係をある程度正しく理解できるようになったのは、SpeedBooster購入した後。
なので、それ以前に書いた文章には間違いがありそう。 - あと、「フルサイズ換算すると」と明記せずにフルサイズ換算して話を進めたり、そこから前置きなしにm4/3の実焦点距離に戻したりしているのも誤解を受けやすい。
- 最大の問題は、フルサイズ換算する際、焦点距離のみ換算してF値や被写界深度の計算をしていなかった事。
- ただし、私がセンサーサイズ、被写界深度、ボケ量の関係をある程度正しく理解できるようになったのは、SpeedBooster購入した後。
- 具体的には「間違っている」と指摘を受けている大部分は、恐らく「50mm F1.4レンズにSpeedBoosterを使うと70mm F1.0になる」と書いている部分だろう。
- 「35mm F1.0相当になる」が正解。
- 書いた本人は「35mm F1.0」のつもりで書いているので、間違いを指摘されても気が付かなかった。
- 無意識の内に「焦点距離だけ」フルサイズ換算してしまっている。
- フルサイズ換算するなら、換算した旨を明記した上で「70mm F2.0相当」と表記するのが正しい。
- m4/3 のスピードブースターの場合、APC-Sサイズのイメージサークルをクロップして使うことになる。
- ここでm4/3をメインで考えるか、フルサイズやAPS -C機をメインで考えるか、などの主観の問題で、今まで書いた私の文章は誤解を受けやすい部分が多そう。
その他
- APS-Cやm4/3のセンサーサイズをフルサイズ換算した時、焦点距離やレンズの明るさ、被写界深度まで語ろうとしているから変なコトになっているのだな、とも感じた。
- でもSpeed Boosterを語る時って、この変の話題は避けて通れないんですよねえ。有効な表現方法が分からない(^_^;
以上、「Speed Boosterの被写界深度を確認しなおしてみる」の更新は、これで終わりです。