はじめにサンプル画像の紹介です。
以下は、デジカメで布地を撮影した時の等倍拡大データです。

マウスカーソルをホバーすると、画像が切り替わります。
YC成分の比較画像
▲画像の一部を切り抜き、等倍拡大したもの。
マウスオン・・・RAW現像したデータ
マウスオフ・・・JPG撮って出しのデータ

細部が潰れたり、ノイズが乗ってしまい、ボンヤリした写真しか撮れなかった・・・嘆いていたら、同時記録しておいたRAWを現像してみたら予想以上に良く取れていました。というお話です。

RAWで撮るメリット

  1. ホワイトバランスを後から調整できる
  2. JPGで撮影するより、広いダイナミックレンジを保存できる。
  3. JPGデータでは潰れてしまうような繊細な描写データも保持してる。
    布の質感や、髪の毛1本1本を解像できる場合もある。
  4. 高ISOで撮影しノイズや偽色が心配な場合でも、RAWで撮っておけば後からかなりの補正が出来る。
  5. デジカメがレンズのプロファイルを持っていない場合でも、適切な現像ができる。

私も以前から上記の「1」「2」は重要視してて、「ホワイトバランス失敗したくない」時や「露出を間違えたくない」「ダイナミックレンジを広く撮っておきたい」時だけ、RAWで撮っていました。

そして「3~5」に関しては、最近になってようやく「重要だなあ」と思うようになりました。撮影データに細かい描写が欲しい場合もRaw形式で撮った方がかなり有利なんですねえ。

事のはじまり

こういう疑問がフツフツと湧き出るようになった。
低ISOで撮っても、なぜかディティールが潰れている事があるのだ。
高ISOで撮った時は純正レンズより明らかにノイズが酷いのだ。

撮影したデータとニラメッコしていると、「絶対にもうチョット写りが良いはずなのに・・・!」と思ってしまうのだ。

という事で、「なんか物足りない、というか、こんなに写りに差が出るはずない。RAWで撮り比べてみよう!」と思い立ったのがはじまりでした。

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RAWで撮り比べテスト

テストに使った機材
 本体:Lumix GH4
 比較したレンズ:
 ・(Pana純正) LUMIX GX VARIO 12-35 F2.8
 ・(オールドレンズ) NFD 35-105 F3.5 + Speed Booster

この2本を比較する理由
この2本は、レンズ中央部分の解像度は同じくらいある筈・・・と思うのだけど、髪の毛1本1本の描写や、布の質感表現では、必ず12-35 F2.8に負けてしまう。
しかもNFD 35-105 F3.5は、何か腑に落ちない負け方をしてしまうのだ。

撮影データ

室内、ISO1600くらいで撮れる環境で、等倍拡大した時に「布の質感や縫い目が分かるような距離」で撮影テストした。
撮影データ
▲こんな感じ
被写体にはジーパンとフェルト布のシャツを選択しました。

何故この明るさを選んだかと云うと、パナレンズを付けている時はISO3200あたりまで良く映るのに、オールドレンズ付けてるとISO1600あたりからノイズや偽色が目立ち、細かい描写が潰れてくるから。

等倍拡大した比較データ

以下、中央部分の等倍拡大データです。

JPEG撮って出しのデータ
JPEG撮って出しのデータ
▲クリックで等倍拡大
かなり違う。

現像前のRAWデータ
現像前のRAWデータ
▲クリックで等倍拡大
違いは分からない。

現像後のRAWデータ
現像後のRAWデータ
▲クリックで等倍拡大
差はほんの僅かだった模様。ちゅうか、NFD 35-105はジーンズ側にピンが来ていなかった (悔しいのでリベンジ撮影した。うん、コレくらいの差だねえ。)

  • Jpg撮って出しについて
    • NFD 35-105 F3.5は結構潰れてる。
    • しかし、思ったより差が出なかった。つまり、これ以上の差が出ている場合は、手ブレかMFが甘いという事か・・・(^_^;
    • (この距離・この被写体の場合は)ISO200~400あたりで撮影すると、この2本のレンズではそんなに違いは出ない。
    • 「長秒ノイズ除去」を有効、「iD レンジ補正」を無効にして撮影したら、NFD 35-105 F3.5の気になるノイズと偽色は消えていた。オールドレンズ使う場合は、このどちらかの機能は注意して使う必要がありそうです。
      (※ノイズと偽色のサンプルは、ページ後半にオマケで掲載しています)
  • 現像前のRAWデータについて
    • 現像前のRAWデータを見ると、大きな違いは無さそう。
    • ノイズと偽色の発生量は、純正レンズもオールドレンズも同じくらいだった。
    • NFD 35-105 F3.5のコントラストが甘いのは仕方が無い。
  • 現像後のRAWデータについて
    • 同じ設定のシャープネスやノイズ除去を当ててみました。
    • さすがに12-35 F2.8の方が上だけど、ふたつのレンズの間に、(レンズ中央部分は)そんなに差は無いようです。
    • うむ、ファインダーを覗いていた時に感じる画質差に収まりました。

今回の教訓

  • 布の質感とか、髪の毛の描写とか、ディティールを重視したい場合もRAWで撮ろう。
  • 高ISOで撮影する必要があり、ノイズをできるだけ乗せたくない場合もRAWで撮ろう。
  • オールドレンズなど、カメラにレンズプロファイルが用意されていない場合も、「しっかり写したい」と思ったらRAWで撮っておこう。

あとがき

NFD 35-105 F3.5の描写力に何か納得できないモノがあって、今回の検証を行ってみました。
結果は上記の通り、「RAW現像しなければ、レンズ本来の実力を出し切れていなかった」というのが正解だったようです。

NFD 35-105 F3.5は、コントラストが低いのは仕方が無いとしても、やっぱりレンズ中央部の描写力はソコソコありますねえヾ(´∀`)ノ
流石にLUMIX 12-35 F2.8には 一歩二歩及ばないものの、それに近い描写力がある感じです。

本文はこれで終わり。以下はオマケです。

おまけデータ

上記検証で行ったRAW現像は、フリーの現像ソフト「RawTherapee4.2」を利用しました。
RawTherapeeのシャープネスとノイズ除去の設定
▲クリックで拡大
RawTherapeeのシャープネスとノイズ除去の設定は、上記の様にしています。

「今回 記事にした検証」を行うキッカケになったショット

JPG撮って出し RAW現像前 RAW現像後
▲クリックで拡大
脱ぎ捨てたシャツとズボンを何気無くRAWで撮って現像したら、偽色ノイズが消えたり、布の質感がドンと向上してビックリした。。。という偶然から、今回の検証はスタートしました。

ちなみに上の写真は、ISO3200で撮影してます。長秒ノイズ除去を無効にしてました。この設定だと、オールドレンズ+GH4の偽色ノイズはコレくらい酷かったです。
(あと、メモ取残していけど、iDレンジ補正を中か強にしていた気がするので、長秒ノイズ除去ではなくiDレンジ補正が原因かもしれないです。。。)

おまけデータ2
GH4 + NFD 35-105 F3.5のサンプルをいくつか掲載

お花見に行ったついでに、NFD 35-105 F3.5でMF練習していました。
撮影練習したデータのうち、上手くピントが合ったものを幾つか紹介します。
(3月29日に公開したレンズレビューのうち、納得行かなかった部分に対するリベンジですw)

以下、いずれもGH4 + NFD 35-105 F3.5 + SpeedBooster の組み合わせで撮影。

ひざ上ショットその1
RawTherapee
▲クリックで赤枠の部分を原寸拡大
jpg撮って出しです。このくらいの距離で、背景に空が含まれる等スッキリしている場合は、プロファイルのないレンズ&JPG撮って出しでも、髪の毛や布の描画は出来るようです。

ひざ上ショットその2
RawTherapee
▲クリックで赤枠の部分を原寸拡大
このデータの場合は、JPGでは布も髪の毛もつぶれていましたが、RAWにはしっかりデータが残っていました。
右の女性の紺パーカーの布地も上手く描写していたので、暗部をかなり持ち上げた現像しています。暗部を明るくしすぎた・・・というか変な現像したので、シャープネス掛かり過ぎたように見え、髪の毛が変に見えます。

全身ショット
RawTherapee
▲クリックで赤枠の部分を原寸拡大
NFD 35-105 F3.5+私の腕では、このくらいの描写が限界な感じ。
RAW現像したらギリギリ髪の毛や布の質感が確認できました。
おばあさんの背負った革バックの質感描写がお気に入りです。

おまけデータはこれで終了。

以前の記事「オールドレンズ(NFD 35-105 F3.5)+GH4で遊んでみる」で、中央部分はLUMIX 12-35mm F2.8 と同等の解像力がある、ただし毛髪や布の質感ような非常に繊細な描写は無理っぽい。」と表現していましたが、これは「レンズプロファイルが無い場合は、カメラ内の現像が大雑把だから」というのが正解だったようです。

プロファイルの無いレンズ、規格外のレンズを使って撮影し、且つしっかり解像させたい・・・! という場合は、RAWで撮って後で現像しなければならない・・・という感じなのですね。