こんな感じで比較してみました。
GH4 + Lumix 12-35 F2.8、ほぼ初期設定
▲クリックで拡大

GH4で「iDレンジコントロール」の挙動をチェックした時のメモページです。
何度か検証して「こんな挙動なのね」と確認しただけのページで、厳密に検証を行ったワケではありません。個人的なメモページです。

まえおき

先に結論

とりあえず、今回の検証でiDレンジコントロールを使っても「ダイナミックレンジが広くなるワケじゃない、白トビ・黒潰れが解消されるワケじゃない」事は分かりました・・・。

まあそれでも、GH3と比べて格段にダイナミックレンジは広がっていると感じます。 カタログページにある「ダイナミックレンジ性能は最大25%拡大。」は間違っていない感じです。明るい所も暗い所も、スゲエ良く撮れます。

実写サンプル1

こんな感じの風景を何枚も撮り比べてみた
サンプル
かなり日差しの強い日の駐車場で撮影。

Mモードを使い、露出補正にはチョット気を使ってみた。露出設定は完全に固定した。露出メーターを見ながら、ほぼ同じ明るさで撮影されている事を随時確認した。

白トビは、左の車の屋根の、本当に一部のみで発生。
黒潰れもほぼ無いものの、タイヤと影の境目が描き分け出来ていないレベル。
まあギリギリ適正露出の範囲内です。

GH4 + Lumix 12-35 F2.8、ほぼ初期設定
GH4 + Lumix 12-35 F2.8、ほぼ初期設定
▲クリックで拡大
横に並べるとスゲー分かり難くなってしまった(^_^;
車の屋根(ハイライト)部分・・・全く補正されない。
車の陰(シャドウ)部分・・・・分かり難いけどソコソコ補正されている。
iDオート・・・・強と中の中間くらいに補正された。

その他メモ
iD無しでは ほぼつぶれてしまっていた「タイヤ部分と周辺の影の描き分け」が、iD弱~中で見えてくる。

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設定変更してコントラストを落としてみる

GH4 + Lumix 12-35 F2.8、NAt -5/0/0/0/0 ハイライトシャドウ-2/+2
iD無効時からタイヤと影の描き分けは見えいる。
GH4 + Lumix 12-35 F2.8、ほぼ初期設定
▲クリックで拡大
車の屋根(ハイライト)部分・・・全く補正されない。
車の陰(シャドウ)部分・・・・分かり難いけどソコソコ補正されている。
iDオート・・・・中の設定と同じレベルで補正された。

レンズを変えてみる

GH4 + オールドレンズ、ほぼ初期設定
推定F2.5~2.7。12-35 F2.8よりやや明るく、コントラストが低いレンズ。
iD無効時、車の屋根の白トビ部分がやや大きくなった。
iD無効時、タイヤと影の描き分けは見えいる。
GH4 + オールドレンズ、ほぼ初期設定
▲クリックで拡大
車の屋根(ハイライト)部分・・・全く補正されない。
車の陰(シャドウ)部分・・・・「無効」時からかなり明るいが、暗部の持ち上げは発生している。
iDオート・・・・iD補正「なし」と同じレベル。補正されなかった。

その他メモ
この場合もiDレンジコントロールの強度が強くなるに従って、画面全体が明るくなり、コントラストが低くなっていく傾向がある。

実写サンプル2

先の撮影では、白トビ・ハイライト部分の補正が全く発生しなかったので、今度はガツンと白トビする状況を選んでみた。
サンプル駐車場
▲近所の車が沢山止まっている駐車場で、日光の影響がかなり強い所。
ヒストグラム表示させると、シャドウもハイライトも振り切れます。

ここでハイライトのトビ具合を色々変えながら撮影してみました。

結果(マウスカーソルをホバーすると、画像が切り替わります。)
YC成分の比較画像
マウスオン・・・iD補正 なし
マウスオフ・・・iD補正 強
5~6回ほど、角度を変えたり、白/シルバー/パール系の色の車を狙って撮り比べてみたけれど、ハイライト側で「明らかな違い」が出たのは2回だけ。

  • 完全に白トビした場合は、全く補正されなかった。
  • 補正された場所は、いずれも上記のような「白トビしていない」場所。
    カラーピッカー使ってみると、補正が掛かる場所は #d8eafe くらいの色をしてた。#ffffff までかなり余裕がある。
  • ハイライト側の補正を意図的にかけるのすげえ難しい。

補正のかかった色をチェックしてみる

iDレンジ補正が掛かった部分をカラーピッカーで測定してみた。

  • 黒すぎても、白すぎても、iDレンジ補正の対象にはならない。
  • ハイライト側で補正がかかった色
     ・・・・#f9f9f9~#dddddd付近。これ以上明るくても暗くても補正がかからない。#f8f8f8より明るい部分は、補正がかからない感じ。
  • シャドウ側で補正がかかった色
     ・・・・#111111~#222222付近から、かなり明るい部分まで補正がかかる。

イメージにするとこんな感じ
iDレンジ補正が掛かる明るさ
▲クリックで拡大
※5~6回のテストをしただけなので、あくまでもイメージです。
「ソコソコ黒に近い所」と「ソコソコ白に近い所」が補正対象でしょうか。

う~~~ん。ヒストグラムから外れたシャドウとハイライトは帰ってきません。
あくまでも「みかけ上のダイナミックレンジ」を広めるだけで、本当にダイナミックレンジが広くなるわけじゃないですね。
そして、ハイライト側で補正がかかる範囲はかなりピーキーでした。

iDレンジコントロールを使って撮影する時に注意する事

撮影時、白トビと黒つぶれが発生しないように撮らなければ、iDレンジ補正は働かない。 この機能を使えば「白トビや黒潰れが(ある程度)抑えられる」という考えは間違いの模様。

iDレンジ補正「AUTO」は、レンズによって挙動が違う・・・!?

2度目のテストの時も12-35 F2.8と、オールドレンズNFD35-105 F3.5を持ち出してみたけれど、「iDレンジ補正AUTO」を使った場合は

  • 12-35 F2.8 ・・・・iDレンジ補正 中か強レベル
  • NFD 35-105 F3.5・・・・iDレンジ補正 OFFのレベル

という結果になった。

NFD35-105 F3.5の場合は、以下のようなヒストグラムを描くコントラストの強い写真でも、「iDレンジ補正AUTO」は作動しないのだ。
ヒストグラム
▲こんな感じでシャドウもハイライトも一杯一杯まで写っているのに、「AUTO」が作動しないのだ。。。

動画撮影時も挙動が違うかも?

あと、(ローライト環境で)動画撮影した場合、NFD 35-105でiDレンジ補正「AUTO」を使うと、必ず「強」レベルの補正がかかる。(12-35は「補正なし」か「弱」レベルの補正になった)
(この検証の詳細は「GH4の極端なローライト撮影時の性能チェック - その2」で記載しています。)

プロファイルの無いレンズを使う場合、通常のレンズと異なる挙動を示す。そして多くの場合、それは良くない結果になる。

その他

NFD 35-105を使った場合と、12-35 F2.8で「コントラスト-5、ハイライトシャドウ-2/+2」の設定を施して撮った写真は、iDレンジコントロールを有効にすると(明るい所も含め) 画面全体の明るさが持ち上がった感じがする。
コントラストの低い設定で撮影する場合は、iDレンジコントロールは無効にしておくのが正解っぽい。

どういう設定で撮影すべきか?

以下、個人的な意見です。

  • コントラストを低くして撮りたい場合は、まず
     ・ピクチャースタイルのコントラスト設定
     ・ハイライトシャドウの設定
    まずは この二つを使って調整する。
    • コントラスト-5、かつ ハイライトシャドウ-2/+2 なんて設定にした時はiDレンジを使うのは避けよう。かなり不自然な絵になる。
  • コントラスト高めで撮影する時は、iDレンジコントロールは凄く便利。積極的に使おうと思った。
    ただし、以下に注意。
  • iDレンジコントロールのハイライト部分の復旧はごく僅か。
    白トビしないように取ろう。
  • iDレンジコントロールのシャドウ部分の持ち上げはかなり大きい。
    • 影が暗くなりすぎると感じた場合は、積極的に iDレンジコントロールを使ってもOK。
    • iDレンジコントロール「AUTO」はレンズによって挙動が違うので、パナ純正以外のレンズを使う時は挙動をチェックしておこう。

外部サイト 参考リンク

今回の検証とは別に、iDレンジコントロールについて参考に出来るURLです。

  • パナソニック LUMIX GX7 FANBOOK: - 64 ページ- 河野 鉄平-Google ブックス
    • こんなのがネットで読めて良いのか!?
      直リンするのマズいんじゃないか?
      と思いつつも直リン。
    • 「白トビが改善する効果がある」と描いてあるけど、GH4では実感できなかった。GX7の場合は改善するのか?テスト方法が違うのか?「白トビ」の考え方が違うのか?
  • 価格.com - 『iDレンジコントロールの活用』 パナソニック LUMIX DMC-GH2H レンズキット のクチコミ掲示板
    • 引用
      効果が適用されるかどうか、またどの程度の効果が適用されるかについては
      ファインダー(液晶モニター)内の「iDレンジコントロール」ロゴマークを見ていれば分かります。
      ロゴマークが白いままなら、カメラが「iDレンジコントロール」効果を
      適用すべきシーンと判断していないということです。
      適用される場合にはロゴマークが黄色になります。
      また、ロゴマークの横のバーの高さによって、実際に適用される効果の程度も示されます。
      「ロゴマークが黄色になる」ってマジで?これは気が付かなかった。
  • パナソニックLUMIX DMC-GH2 - デジカメWatch
    • 引用
      前モデルDMC-GH1は暗部補正だけだったが、本機では明部の補正も行なう「インテリジェントDレンジコントロール」に進化。白トビと黒ツブレの両方を補正してくれる。
      これもマジか。気が付かなかった(^_^;

あちこちリンクを辿ってみて、iDレンジコントロールはGH1の頃と挙動が違う事を初めて知った。センサーやビーナスエンジンが代を重ねる毎に補正方法や補正量は色々と変わっているのですねえ。