AutoMenでh.264形式に動画を変換する話の続き。
前回エントリでお手軽・最速エンコ出来る設定を模索しましたが、今回はそれなりにキチンと残して置きたい番組に対して行うエンコード設定を詰めて見ます。
従来行っていたVirtualDub(VDM)+Xvidでのエンコードと「画質・変換速度・ファイルサイズ・設定、仕込みの簡単さ」の4点で比較を行い、全体のバランスで良い感じの設定が見つかったらAutoMenでのエンコードにシフトして行こうと思ってます。
つまり、AutoMenひいき目。VDM+Xvidが全てにおいて優秀だと思ったらこのままXvidにエンコを続けるつもりで検証スタート。
最初にお断り
比較画像は、静止画だと違いが殆ど解らないのでアップしません。PSNRとかも面倒なんで検証しません。
2009.03.31追記
Core
i7機で変換速度を比較したページがコチラにあります。(画質に関して言及なし)
このページに記載したデータはAthlon64X2 2.5Ghzで検証したものです。
比較対象
以下、
・地デジTSファイル
・672X384、720X544ピクセル等のサイズ
・h.264又はXvidに変換
・使用するツール、手順、画質、変換速度の検討です。
縮小には全てLanczos使用。
- VDMでXvid+mp3に
(Xvid 1.2.1) - AutoMen(Mencoder)でh.264+aacに
(MEncoder Sherpya-SVN-r27323-4.2.4)
音声部分がmp3、aacと異なっていますが、今回は音質については問いません。
1.設定、仕込みの簡単さ
これはどちらが良いとは言い切れない。
- 読み込み
○AutoMen:直読み可能
×VDM:DGIndex+Avisynth等、フレームサーバを介さないと無理 - 音声ファイル
○Automen:CMカットのみで5.1ch、2ヶ国語放送などエラー無く変換できる
×VDM:VLC、BonTSDemuxなどを使って別個変換が必要。 - CMカット
×Automen:CMカットで余分にTSファイルを作成しなければならない。
使用ソフト:MurdocCutter、HDTVtoMPEG2
10GB単位の中間ファイルが必要。HDD容量に空きが少ない場合は困難。
○VDM:CMカット編集からそのまま変換可能。編集ファイルも保存可。 - フィルタ処理
×Automen:Mencoderの簡単なノイズ除去フィルタしか使えない。
○VDM:Avisynth、VDMの豊富なフィルタから好きなものを好きな組み合わせで選べる
(地デジ動画の変換では殆どフィルタ必要ないので関係ない)
要は慣れの問題。ここでの優劣はつかない。
2.変換速度
比較基準として、Xvidの設定はデフォルトに固定。
Mencoderx264のパラメータを色々弄ってみて、とりあえずdeblock、cabac両方をOFFにしておけばかなり速度アップする事が分かった。
Automenのx264プロファイルで言うと「Normal」がそれに該当する。
AutoMenx264プロファイル「Normal」なら、VDM+Xvid標準設定よりエンコード速度が1.6倍速くなる。
先人の残したプロファイルを信じ、これ以上パラメータを弄るのは今回はやめ。
3.画質
画質比較には前回に引き続き、実写:スポーツ中継。
厳密な比較ではなく、あくまで私の主観。
一般的にx264のQ=18はXvidのQ=2に相当すると言われている。
が、nodeblock、nocabacのパラメータをつけてMencoder x264で変換する場合、x264 Q=18はXvid Q=3相当の画質であると思われる。
Q=20あたりからブロックノイズが気になりだして私の目には満足出来なかった。
これはXvidがQ=4辺りからブロックノイズが気になりだすのと同じレベル。
4.ファイル容量
50秒ほどの生TSファイル(88.9MB)を用意、エンコーダー以外全て同条件でエンコ
- 672X384 Xvid Q=3 :22.4MB
- 672X384 x264 Q=18:22.2MB
- 672X384 Xvid Q=4 :16.9MB
- 672X384 x264 Q=20:16.4MB
- 720X544 Xvid Q=3 :32.2MB
- 720X544 x264 Q=18:31.9MB
目を凝らして比較するとXvidの方が高画質(と言うより実写として自然な表現)な気がするが、パッと見には解らないレベル。
ファイル容量と画質のバランスはXvid使用時とほぼ同程度。
これはVDM+XvidからAutoMenに移行しても良いかも。
5.ノイズリダクション
512X384、448X336と云ったサイズでは非常に高速に作動してくれたGPU系のノイズリダクションフィルタだが、672X384サイズでは高速に作動してくれない。手持ちGPU(GeForce6600GT)の限界。
Automen付属のノイズリダクション、Light、Normal、Severeと3段階あるが、このサイズではどれも同じだけ速度低下。
- VDM+Xvid 672x384:25fps⇒20fpsに低下。
- AutoMen 672x384 :32fps⇒27fpsに低下。
デジタル放送クラスの画質になると、ノイズリダクションを掛ける必要のあるコンテンツは殆ど無いし、サイズの縮小も微々たる物(10%程度)。どうしてもサイズを小さくしたい時以外は必要ない。
以下検証結果詳細
tools | size | codec | Q or bps | size | CPU 使用率 | fps | プロファイル | NRフィルタ |
ソース | 1440X1080 | mpeg2 | 88.9 | |||||
VDM | 672x384 | Xvid | Q=3 | 22.4mb | 90~96 | 25 | デフォルト | |
AutoMen | x264 | Q=18 | 22.2mb | 88~93 | 32 | 1Pass Quality Normal | ||
VDM | Xvid | Q=4 | 16.9mb | 90~96 | 25 | デフォルト | ||
AutoMen | x264 | Q=20 | 16.4mb | 88~93 | 32 | 1Pass Quality Normal | ||
VDM | Xvid | Q=3 | 20.6mb | 90~96 | 20 | デフォルト | FFT3DGPU | |
VDM | Xvid | Q=3 | 20.6mb | 90~95 | 20 | デフォルト | TemporalCleaner | |
AutoMen | x264 | Q=18 | 20.9mb | 75~85 | 27 | 1Pass Quality Normal | Normal | |
AutoMen | x264 | Q=18 | 19.8mb | 75~85 | 27 | 1Pass Quality Normal | Severe | |
VDM | 720x544 | Xvid | Q=3 | 34.2mb | 90~96 | 18 | デフォルト | |
AutoMen | x264 | Q=18 | 31.9mb | 85~95 | 28 | 1Pass Quality Normal |
うん、AutoMen良い感じだ。
とりあえず、地デジTSファイルのmp4 h.264への変換には
AutoMenのx264 1Pass QualityNormal Q=18
を基本にすること決定。
AutoMenのイニシャルファイル「profile.txt」に以下のコマンドラインを書き足しておけばOK
\X264 1 pass Quality Normal Q=18\ -ovc x264 -x264encoptscrf=18:threads=auto:frameref=3:level=41:bframes=4:nodeblock:nocabac:direct_pred=auto:partitions=p8x8,b8x8:me=dia:me_range=12:subq=3:nochroma_me:nomixed_refs:nobrdo:nobime:trellis=0:nr=0
さらに好みの画質と変換速度のバランスを模索してみたい気持ちもあるけど、ここから先は時間もかかるのでここでの公開は先の話で。
のんびりやりますよ(´・ω・`)
2009.03.31補足
メインPCをCore i7機に買い換えた所、 MencoderとFFMpegの変換速度はほぼ同程度となり、Avisynth+VDM+Xvidの変換速度はMencorderやFFMpegを上回るものになりました。
環境によって各種エンコーダーやツールの変換速度、効率は結構異なりますね。。。
このページも参考程度にしてください(^_^;