このページでは、Windows 10 のPC初期化機能「このPCを初期状態に戻す」に用意されている2つのオプション「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」の違いについて説明しています。
(ページ後半で「新たに開始」も含めて違いを確認しています。)

「個人用ファイルを保持する」「すべて削除する」「新たに開始」の違い

「このPCを初期状態に戻す」について

「このPCを初期状態に戻す」は、Windows 10 が起動できる状態、起動できない状態両方で利用する事ができます。

Windows 10 が起動できる場合
Windows 10 が起動できる状態の「このPCを初期状態に戻す」のメニュー
▲クリックで拡大

Windows 10 が起動できない場合
Windows10が起動できない場合の「この PC を初期状態に戻す」のメニュー
▲クリックで拡大

Windows 8.1時代は、この2画面でメニューの名称が異なっており少しややこしかったのですが、Windows 10 では名称が統一されています。

いずれも Windows を初期化するためのメニューですが、「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」には 以下の違いがあります。

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個人用ファイルを保持する / すべて削除する の違い

「個人用ファイルを保持する」

以下、Microsoft ドキュメントの  How push-button reset features work を参考に作成しています。

  • 保持されるもの
    • ユーザーアカウント(ローカル、ドメイン、Microsoftアカウント)
      グループメンバーシップの設定、ドメイン設定
      Windows Updateの設定
      マイドキュメントなどライブラリの設定
      ロック画面の背景、デスクトップテーマ、国際設定
      ワイヤレスネットワークプロファイル
      Windows Welcomeで設定された項目 など
  • 削除されるもの
    以下のフォルダが Windows.old フォルダにバックアップされる
    • C:\Windows
      C:\Program Files
      C:\Program Files(x86)
      C:\ProgramData
      C:\Users\<ユーザー名>\AppData(各ユーザープロファイル内)
      • 個人でインストールしたアプリは削除される。
      • 削除されたアプリはリスト化されたファイルが作成され、デスクトップ上に保存される。
      • メーカー製PCなどのプリインストールアプリや、ストアアプリなどは削除されない。
      • C:\Recovery\Customizationsの「プロビジョニングパッケージ」に格納されているカスタマイズは新しいOSに適用される。
        プロビジョニングパッケージとは1 / プロビジョニングパッケージとは2
  • 個人設定・個人データは残る。
  • ユーザーの作成したフォルダ (およびその中身も) 残る
    • システムフォルダ内や「Program Files」フォルダ内に作成したフォルダやファイルは残らないので注意
  • ドライバの削除には以下ルールがある。
    • 一部のドライバは残る
      • OOBE中に存在していたドライバは、それ以降新しいドライバがインストールされていても復元される。
        ※ OOBEの用語説明は次項。
      • 基本的にメジャーアップデート時に存在していたものに復元される
    • ドライバーの INF パッケージ以外でインストールされたデバイス アプレットは、このプロセスの一環としては復元されない (つまり削除される)
    • 注意: 一部のドライバは残ると言いつつも、ユーザーがインストールしたドライバ (ビデオカード、チップセット、プリンタのドライバなど) は大抵が削除される。
    • その他: 署名の無いドライバ、Windows 7/8.1時代から引き継いだドライバなども削除されると思われる。

「すべて削除する」

  • 完全に初期化される。クリーンインストールと同じと思ってよい。
  • ユーザーが作成したフォルダも削除される。
  • Windows.old の中身もほぼ空で、数MB以下となる場合もある。
  • Windows 10 バージョン 1709以降では、
    リフレッシュ前と同じBuildになる。
    Windows Update で品質更新プログラムを入れ直す必要はない。
    • Windows 10 バージョン 1703以前の場合
      Build の 巻き戻りが発生する。Windows Update で品質更新プログラムを入れ直す必要がる。


個人用ファイルを保持する / すべて削除する の違いについてここまで。

どのように初期化されているのか

以下、Microsoft ドキュメントの  How push-button reset features work から、拡張ポイントの項目を削除して抜粋。

「個人用ファイルを保持する」メイン。「すべて削除する」は赤文字で掲載。

  1. Windows回復環境(Windows RE)でPCが起動する
  2. ユーザーアカウント、設定、およびデータが収集され、一時的な場所に移動される。(「すべて削除する」の場合は削除される)
  3. OSの新しいコピーが一時的な場所に構築される。
    (元となるイメージには Windows Component Store のファイル ( C:\Windows\WinSxS フォルダ内のシステムファイル) を使用している)
  4. C:\Recovery\Customizations のプロビジョニングパッケージに格納されているカスタマイズも、新しいOSに適用される。
  5. ドライバも既存のOSからコピーされ、新しいOSにインジェクトされる。
  6. プリインストールされていた Windowsアプリも、バックアップ先から復元される。
  7. システムクリティカルな設定が新しいOSに適用される。
    (つまり、OSが起動するために非常に重要な設定は初期化される?)
  8. 既存のOSが C:\Windows.old に移動される。
    (「すべて削除する」の場合は削除される)
  9. 新しいOSが、OSボリュームのルート (通常 C:\Windows) に移動される。
  10. PCが新しいOSで再起動する。最初の起動時にユーザーデータと設定が再適用される。(「すべて削除する」の場合はOOBEが開始される)

※上リストで出てくる用語

「全てを削除する」のオプション

「全てを削除する」には、4つのオプションメニューがあります。
※「個人用ファイルを保持する」には選択オプションはない

「全てを削除する」のオプションメニュー

その1
「全てを削除する」のメニュー
▲クリックで拡大
「Windows がインストールされているドライブのみ」
「すべてのドライブ」

通常は「Windows がインストールされているドライブのみ」を選んでおけば問題ありません。

その2
メニューのオプションはさらに続きます。
「全てを削除する」のメニュー2つ目
▲クリックで拡大
「ファイルの削除にのみを行う」
「ドライブを完全にクリーンアップする」

通常は「ファイルの削除にのみを行う」を選んでおけば問題ありません。

これらをざっくりと表で解説 (他サイト情報)

これら「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」それぞれの機能の大まかな違いは、ドスパラさんの以下表が分かりやすいです。
Windows10が起動できない場合の「この PC を初期状態に戻す」のメニュー
▲クリックで拡大: 上図のリンク先 → Windows 10 をリカバリー ( 初期化 ) する手順 | ドスパラ

「個人用ファイルを保持する」と「新たに開始」の違い

ここで、バージョン1703から新たに加わったOS初期化方法「新たに開始」についても補足を入れておきます。

新たに加わったOS初期化方法「新たに開始」
「新たに開始」
▲クリックで拡大
初期化される範囲は、「個人用ファイルを保持する」とほぼ同じです。
以下、比較対象は「個人用ファイルを保持する」です。

  • Windows 10 バージョン 1709
    • あまり使い込んでいない検証用PCでは、違いは発見できなかった。
    • 「個人用ファイルを保持する」と「新たに開始」では、初期化される範囲は同じとみて良いと思う。
  • Windows 10 バージョン 1703
    • Windows の build が巻き戻るかどうか、の違いがあった
    • 個人用ファイルを保持する ・・・・ build が巻き戻る
      新たに開始 ・・・・ build が巻き戻らない
    • Windows の build が巻き戻ると、リカバリ終了後の Windows Update で 品質更新プログラムを再度適用する必要がある。

「このPCを初期状態に戻す」や「新たに開始」などのPC初期化機能の比較はここまでです。

次回更新では、実際に手元のPCで「このPCを初期状態に戻す」や「新たに開始」を実行した際のメモを公開する予定です。

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