2016.09.04: UEFIとGPTディスク関連の情報を整理し直し。
2015.01.23~02.08: 古くなった情報を全面的に修正。
(古い情報はこちらのページで読むことができます。)
2009.09.09: 初出
新しくWindowsパソコンを購入する際に、
「64bitと32bitで何が違うの?」
「どっちを買えば良いの?」
という疑問や不安を解消するための情報ページです。
以下、いくつかの項目に分けて箇条書きしています。
また項目によって、同じ内容が重複している箇所があります。
かなり長い文章ですが、とりあえず太文字だけナナメ読みしても大雑把な内容は把握できるかと思います。
通常は、64bit版Windowsがおすすめ
ほとんどの場合で、64bit版Windowsがおすすめです。
「よく解らない」と感じた場合は、64bit版を選んでおけば問題ないかと思われます。
ただし、モバイル用などのスペックがやや低めなPCでは、32bit版OSの方が良い場合があったり、パソコンの使い方によっては処理速度にほとんど変わりが無い場合もあります。
自分の用途に合わせ、敢えて32bit版Windowsを選ぶ・・・という選択も十分にアリです。
64bit版Windowsが有利になる例
64bit版Windowsの方が良いのは、具体的には以下のような場合です。
- メインメモリを沢山搭載したい場合
- 32bit版Windowsは、最大で4GBまでしかメモリを認識できません。また 4GBのメモリを搭載した場合でも、OSで利用できるメモリは最大でおよそ3.3GBまでになります。(詳しい話は後述)
- 64bit版Windowsの場合、(OSのバージョンやエディションによって異なるのですが) 例えばWindows8.1は最大で128GBのメモリを認識してくれます。
- 大量のメモリが必要なソフトを使いたい場合
- 32bit版Windowsでは、一つのソフトが扱えるメモリは2GBまでです。
- 64bit版Windowsと64bitに対応したソフトを使えば、この2GBの壁はなくなり、PCに搭載されたメモリを有効に活用することが可能になります。
※この詳細は、次の項目で書いています。
- ファイルのコピーをよく行う場合
- 1GB以上のファイルをコピー&ペーストや移動させる場合などは、2~3割ほど64bit版Windowsの方が高速に処理できます。
- セキュリティ面でのメリット
64bit版Windowsは、32bit版と比較して以下のメリットがあります。
- マザーボード側で機能するもの
- セキュアブート・・・ 「UEFIに準拠したマーザーボード」に搭載されたセキュリティ機能。
- Windows8以降が対応。
- Windows7の場合「UEFIブート」には対応しているがセキュアブートには未対応。
2016年4月のWindows Update以降、セキュアブートを有効にしているとWindows7は起動しなくなる。 - セキュアブートが有効になっていると、デジタル署名がキチンと発行された、「信頼されたOS」「信頼されたドライバ」でしか起動できなくなる。これにより、ルートキット等に汚染された不正なWindowsは起動しなくなる。
(※Windows8.1以降、常駐アプリにもデジタル署名が必要になった)
- OS側で対応するもの
- 64bit版Windowsでは、セキュアブートを無効にしている場合でも、(OSレベルで)ドライバや一部アプリケーションのインストールにコード署名証明書に基づくデジタル署名は必須になっている。
(これで困った場合はOS をテストモードにして解除可能) - DEP・・・ ハードウェアでのデータ実行防止 (XP SP2から導入された、バッファオーバーフローの脆弱性を突いてコードを実行する ウイルスやワームを防止する機能)が、64bit版Windowsではより有効に作用している。
- カーネル修正プログラムによるセキュリティの強化・・・主要なカーネルデータ構造を修正できないようになっている。
- 64bit版Windowsでは、セキュアブートを無効にしている場合でも、(OSレベルで)ドライバや一部アプリケーションのインストールにコード署名証明書に基づくデジタル署名は必須になっている。
:@IT:解説:Windows XP SP2で採用されたDEPの仕組み - マザーボード側で機能するもの
64bit対応ソフトのメリット
64bit版のOS上で、64bitに対応したソフトやアプリケーションを使うことで、2GB以上の大量のメモリを利用することが可能になります。
大きな恩恵を受けるソフトは、具体的に以下のようなものがあります。
- HD画質の動画編集
- 動画編集には、大量のメモリが必要になります。32bit版Windowsでは、メモリが不足しがちになり、どうしても処理が遅くなってしまいます。
- 特にHD動画を編集した場合や、2GB以上の動画を扱う場合は、編集中のレスポンスや最終レンダリングの速度が大きく異なってきます。
- (本格的な)3DCGソフト
- 動画編集ソフトと同様、大量のメモリを必要とします。
- 本格的なレンダリングを行うツールなどでは、64bit OSと64bit対応ソフトを利用すれば、処理速度が2倍以早くなるケースがあります。
- 2千万画素以上の画像を補正・加工・編集したい場合
- 大きいサイズの画像を加工・補正する場合には、大量のメモリが必要です。1500万~2000万画素のデジカメ写真を加工する場合は、64bit対応の画像編集ツールが格段に有利です。
- 凝った加工や、レイヤーを何層も重ねる場合は、500万~1千万画素あたりでも大きな差が出てきます。
- 3千万画素あたりでは非常に大きな差が出るようになり、32bit版の画像編集ツールの場合、読み込みの限界がくるツールもあります。
- MS Officeを多用する、沢山のソフトを同時起動させる場合
- MS Officeは 非常に多くのメモリを消費します。MS Office単体で起動させる場合は問題ありませんが、複数のソフトを同時に起動する場合、32bit版OS (メインメモリ4GB以下)ではメモリは不足しがちになります
- MS Officeに限らず、一般的なソフトを使う場合でも、複数を同時に起動させるような使い方をする場合は 64bit版Windows と4GB以上(できれば8GB以上)のメモリを積む方が有利になります。
- 専門的なツールを動かしたい場合
- 大規模なシミュレーションツールやデータベース、OSの仮想化を行う場合なども、大量のメモリが必要になってきます。
64bit版/32bit版、どちらを選んでも問題ない場合
- 搭載しているメインメモリが3~4GBの場合
- メインメモリが3~4GBの場合、64bit版Windowsと32bit版Windowsで性能に大きな差は出ない場合がほとんどです。
- 補足: 32bit版Windowsでは、4GBのメモリを搭載していても約3GBまでしか利用できません。
(64bit版Windowsの場合は4GBすべて利用できます。)
- PCの主な用途が、ネットのブラウジングや文書の作成・閲覧などの場合
- インターネットを楽しんだり、
- 文章や簡単な図形作成やデジカメ写真の整理したり
- 音楽や動画の視聴
パソコンの利用目的が、これらのような軽いものばかりの場合は、32bit版と64bit版Windowsで、大きな差が出る事はまずありません。
(デジカメ写真を大量に一括整理したり、高い頻度で補正処理する場合などは、64bit版の方が適しています)
32bit版Windowsを購入した方がよい場合
例えば、メモリ2GB、SSD 64GB 程度のPCの場合は、32bit版Windowsの方が快適に使えます。小型・軽量化に特化したモバイルPCの場合、このくらいのスペックに収まっている場合があります。
- Cドライブ(HDD/SSD)が非常に小さい場合
- Windowsを長く使い込んでいると、64bit版Windowsは、32bit版Windowsと比べて5~10GBほどシステムが大きくなってしまいます。
- Cドライブの容量が小さい場合、この5~10GBの差がWindowsの安定性や快適な操作に大きく関わってくるようになります。
- パソコンに搭載されたHDD/SSDの容量が、80~64GBあたりが目安になると考えています。
これより小さいストレージを搭載したパソコンは、32bit版を選ぶほうが長く快適に利用できる可能性があります。
- メインメモリが3GB以下の場合
- とりあえず2GBのメモリがあれば、64bit OSでもそれなりに作動しますが、メインメモリが2~3GBのPCは、32bit版OSを選択した方がよいパフォーマンスを得られます。
- ただしこの場合、(予算やCドライブの容量との兼ね合いになりますが) 4GB以上のメモリを積んで、64bit版Windows を選ぶ方が賢い選択になると感じます。
- 古い周辺機器をまだ利用している場合
- 古い周辺機器をまだ利用していて、新しいPCでも利用したい場合は、64bit版のドライバが用意されているか、事前に確認しておきましょう。
- 2007年以前に発売された周辺機器の場合は、64bit版Windowsのドライバがリリースされていない場合があります。(事前に確認しましょう)
- 特殊な周辺機器を利用している場合
- 64bit版Windowsは、デジタル署名のないプログラムの実行に制限を加えているため、一部のツールやドライバに制限がかかります。
- 特殊なセンサーツールやTVチューナー、ゲームコントローラーなど、有志によって開発された改造ドライバーや、署名なしドライバーを利用している場合、64bit版Windowsでは上手くインストールできない場合がほとんどです。
- 32bitアプリケーションでとにかく速度を追及したい場合
- メモリをあまり使わないソフトの場合は、32bit版のソフトと64bit版のソフトに大きな性能差はありません。
- たとえば インターネットの閲覧や、動画・音楽の視聴、文書作成などは、OSやアプリケーションが64bit化しても、劇的に早くなることはありません。
- また(動画編集ではなく)動画変換ソフトの場合も、実はあまりメモリを使用しません。32bit版のソフトでも、64bit版のソフトと大きな違いは出ない場合があります。
- 32bit版のソフトを使う場合、(その差はほんの僅かですが)64bit版のOSより、32bit版のOSで実行したほうがほんの少しですが早く処理できます。
現在では、32bit版Windowsを購入した方が良い結果となる例は、非常にすくなくなりましたが、利用目的が「軽作業のみ」「古い周辺機器との互換性重視」などとはっきりしている場合は、32bit版Windowsを選んだほうが賢い選択になります。
HDDの容量は気にしなくて良いの?(2TBの壁問題)
- 32bit OSの場合、Cドライブに2TB以上のHDDは認識できません。
※ただし、これはCドライブに限ったお話になります。
※システムドライブをUEFI+GPT形式でインストールできない為に発生します。 - 2.2TB以上のボリュームをCドライブとして利用し、すべての領域を有効に活用したい場合は、64bit OS、UEFI対応マザー、GPTディスクへのOSインストールが必須になります。
- 補足:
システムに利用しない(データドライブとして使用する)場合は、Vista以降の 32bit Windowsは「GPT 方式」でフォーマットすれば 2TB以上のHDDを利用可能です。 - 2TB以上のHDDをCドライブとして利用できるのは、64bit版の Windows 7以降またはVista SP1以降です。
- 脱線
その他の情報 (2TBの壁問題など)
詳しい話が知りたい場合は「大容量 HDD 導入時には注意!「2TBの壁」-フェンリル」と「2TBの壁、3TBの問題点などハードディスク購入上の注意点 | 電脳獅子惑星」がおすすめです。
- 補足:
UEFI/GPT形式でのインストールについて
基本的に64bit版Windowsのみ。
ただしWindows8以降、一部機種(メーカー製PCなど)は32bit OSもGPT/GUID起動可能です。(UEFI起動できるかどうかは、マザーボードのアーキテクチャーに由来するため。64 ビット UEFI のPC は、64 ビットバージョンの Windows だけをUEFI起動でき、32 ビット PC は、32 ビット バージョンの Windows だけをUEFI起動できます)
そのため、32bit版でUEFI起動できる特殊なPCの場合、通常のインストールDVDなどから32bit版Windowsのインストールは出来ないので注意です。
今どきのPCとメモリ消費量について
- ビデオメモリとメインメモリを共有するPCの場合、ビデオメモリが2GB以上を占有するケースが増えて来ました。
- 参考リンク(あくまでも一例)
121ware.com > 製品情報 > LaVie Direct NS(e)[Note Standard] > 仕様 (64bit OSのみの機種) - ビデオメモリの過度な占有を解消する方法(一例)
Windows で、利用可能メモリが搭載メモリより異常に少なくなる回避法 - 最近のPC(64bit Windowsを前提に設計されたPC)の場合、上リンクのように共用ビデオメモリで2GB以上のメインメモリを占有する場合があります。
- 内蔵グラフィックチップの進化により、ビデオカード非搭載のPCでメモリ不足に陥りやすいケースがあります。
- このようなPCの場合、メインメモリ4GBでは、メモリが不足するケースがあります。新規にPCを購入する場合、ビデオメモリの性能や、メモリ占有量をきちんとチェックしましょう。
- 参考リンク(あくまでも一例)
- 最近は、OSもソフトウェアも、大容量のメモリを前提として設計されています
- 64bit版 Windowsでは、メモリ4GB (共用ビデオメモリの占有で実際に使えるメモリが2~3GB) の場合、Windows Update 中はメモリが不足しがちになり、操作が非常に重くなる場合があります。
- Windows Updateを自動更新にしてバックグラウンドで作動させていたりすると発生しやすい現象です。
- 32bit版 Windowsでも、(実際に使える)メインメモリが2GB以下の場合、この現象は発生しやすくなります。
- 64bit版 Windowsでは、メモリ4GB (共用ビデオメモリの占有で実際に使えるメモリが2~3GB) の場合、Windows Update 中はメモリが不足しがちになり、操作が非常に重くなる場合があります。
- メモリ消費量のチェック方法について
- 参考リンク(Windows8/8.1)
Windows OS入門:第4回 メモリ管理 - @IT
- 参考リンク(Windows8/8.1)
その他の注意事項
※上記までで書いたことと重複している項目があります。
- 32bit版Windowsは、UEFIブートに対応していません。
- UEFIブートのメリットである「高速起動」や「セキュアブート」は、64bit版 Windowsでのみ機能します。
- メーカー製の一部の特殊なPCの場合、(例外ですが)32bitでもUEFIやセキュアブートに対応している場合もあります。
- 32bit版Windowsは、4GBのメモリを積んでも3GBしか認識しないのはなぜ?
- これは、32bit版OSがデバイス制御用に必要なアドレス空間とメインメモリを合わせて、メモリ空間を4GBまでしか認識できないために発生します。
- Windowsは、まずデバイス制御に必要な空間を アドレス空間に予約し、残りをメインメモリに割り当てます。
- ビデオカードなど接続されたデバイスは、実際には OSのメモリではなく、アドレス空間を消費します。
- デバイス制御に多くの領域が割り当てられると、利用できるメインメモリが減ってしまいます。
- メインメモリの認識量は、ビデオRAMの量ではなく、接続するデバイスの数や、デバイスに搭載されたチップの数と関係してが減って行きます。
- 例えば32bit版のWindowsに、大量のメモリを積んだ高性能なビデオカードを使ったり、SLIやCFX(ビデオカードの2枚挿し)を行うと、OSが使えるメモリが2.2GBまで減るような現象が発生することがありますが、すべてのビデオカードで発生するわけではありません。搭載されたチップの数や仕様に左右されます。
- 64bit版Windowsは、どのくらいメモリを搭載できるのか。
- 64bit版 OSは、理論上は16EB (16エクサバイト)、(約170億GB)までメモリを認識可能です。
- 64bit版 Windowsの場合、実際には
Windows7 Home ・・・16G
Windows7 Pro ・・・192GB
Windows8/8.1 ・・・128GB
Windows8/8.1 Pro ・・・512GB
が搭載メモリの上限になります。 - 32bit版 Windowsは、最大4GBまでしかメモリを認識できません。
(実際には3GB前後しか認識されません。また、一つのアプリケーションにつき2GBまでしか利用できません。)
- 使えるアプリケーションについて
- 32bit版Windowsでは、64bit用のソフトやアプリケーションは利用できません。
- 64bit版Windowsでは、64bit用と32bit用、両方のソフトやアプリケーションが利用可能です。
- 64bit版Windowsは「WOW64」という仮想化技術で32bit版のソフトを起動しています。(参考リンク)
- 32bit版のソフトは、1つのソフトにつき利用できるメモリは2GBまで、という制限があります。
- 動画編集ソフト、画像編集ソフト、3DCGソフトなど、大量のメモリを消費するソフトは、64bit版の方が快適に作動します。
- 使える周辺機器・ドライバについて
- 32bit版 Windowsと64bit版Windowsでは、基本的に周辺機器のドライバは別物になります。
- ※補足
ごく稀に、64bit版Windowsでも32bit版ドライバを適用し、正常作動する場合もあります。(ただし、これは例外中の例外と思っておきましょう)
まとめ・ポイント
- 購入する パソコンに十分なスペックはあるか?
- 64bit版を選ぶ目安はメモリ4GB以上とCドライブ80GB以上
※OSをアップグレードする場合は、CPUが64bit対応しているか、ビデオカードがWDDMなど最新のWindowsの機能が使えるようになっているか、などもチェックする。 - メモリ4GB、Cドライブ80GB以上あれば、64bit版Windowsの方が快適。それ以下なら32bit版を選んだほうが良い場合が多い。
- 長く使いたい、バックグラウンドで Windows Update が起動している時も快適に使いたい場合は、64bit OS + メモリ8GB以上の環境が望ましい。
- 64bit版を選ぶ目安はメモリ4GB以上とCドライブ80GB以上
- よく利用するソフトが、大量メモリの恩恵を受けるか?
- 現状では、動画編集、3DCG、高画素な画像の加工や補正、(その他専門的なデータベースやシミュレーション、OSの仮想化) これくらいしか、大容量メモリの恩恵はありません。
- MS Officeも意外とメモリを消費します。PCの使い方やハード構成によっては、メインメモリ4GBではメモリ不足になる場合があります。
- とりあえずよく分からなかったら、64bit版Windowsを選んで4GB以上(できれば8GB以上)のメインメモリを積んでおいた方が無難です。
このページの情報はここまでです。
多くの場合で、64bit版Windowsを選択するほうが良い結果になるかと思いますが、モバイルPCなどでは32bit版を選んだほうが賢い選択になる可能性がある事を覚えておきましょう。
あわせて読みたい
外部サイトで参考になる関連リンク集です。
- Windows8.1のシステム要件/Windows7のシステム要件
- ASCII.jp:ベンチマークでわかる Windows 7 32bit vs 64bit
- 64ビットのOSと32ビットのOSってどっちがいいのだ?って言うか何が違うのだ? | ライフハッカー
- Windows 7研究: 64ビット版と32ビット版、どちらを選ぶべきか? 日経トレンディネット
- Windows TIPS:Windows OSでサポートされている最大物理メモリサイズは? - @IT
※32bit OSがメモリ4GB全て使えないお話を、図解入りで解説 - ASCII.jp:32bit vs 64bit Windows 7を入れるならどっちだ?
おまけ
このページに書かれていた古い内容は、以下のリンクに保管しています。
64bit版、32bit版の違いは何?(2009年版)