KP41問題の歴史を振り返り、「何が原因で」、「どういう経緯で」KP41問題という考え方が生まれたのか・・・? を考えてみるページです。
まず、KP41問題が生まれた大きなキッカケの一つとして、
「KP41エラーが発生するPCに、XPやVista(またはLinux系OS) をインストールすると、ブルースクリーンエラーや勝手に再起動する現象は発生しなくなる」というものがありました。
いつから発生していたのか
KP41エラーに関する問題は、私は2011年(SandyBridge登場)以降に広まった問題だと認識していましたが、実はWindows7が登場した直後から、一部ユーザーの間では問題になっていたようです。
- 2009年11月
Windows7 不具合報告スレ (初代)
http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/win/1256447372/
321-323、363以降で「Kernel-Power イベントID:41」に関する話題が頻繁に出てくるようになる。
VistaやXPでは落ちないPCが、Windows7にすると落ちる・・・という内容がメイン。 - 2010年7月
価格.com - 『kernel power 41エラーについて』
この頃、既に
・USBのセレクティブサスペンドの設定をオフ
・PCI Express 「リンク状態の電源管理」をオフ
・プロセッサの電源管理」最小、最大とも100%にする
・Cool'n'Quietをdisable
・C1E Supportをdisable
・メモリ電圧を上げる
などの方法は確立している。但し、全てのPC環境に通用するとは限らない、という認識もしっかりなされている模様。
- 補足&注意
この頃は、自作PCユーザーやハイエンドPCユーザーの間では問題になっていても、メーカー製PCやノートPCでは殆ど問題になっていない。 - ハードウェア(特にマザーボードやCPU)の世代が変わっていると、この手の情報は通用しない場合がある。
- 補足&注意
初期(2009~2011年初頭)のKP41問題について
Windows7がリリース直後(2009年から、2011年前初頭まで)は、KP41関連の問題はたまに登場するものの、ほとんど問題になっていませんでした。
初期(2009~2011年初頭)のKP41問題の、原因について
この時期の「同じPCにWindows7をインストールするとブルースクリーンエラーが多発するが、XP/Vistaをインストールするとエラーが全く発生しない」という症状の原因は、その多くが非常に解りやすいものでした。
- この時期は、Windows7が「マルチスレッドやHTT(ハイパースレッド)の使い方が上手くなった」事が一番大きな原因だと推測しています。
- 参考リンク
Core i7 で「Hyper Threading をオフにすると速くなる」は OS によっては正しくない! - Nire.Com
- Windows XP/Vistaは、実はHTTの性能を十分に発揮できていなかった。
(つまり、Windows XP/Vista時代は、PCがフル作動することは無かった。) - そういうPCにWindows7をインストールすると、ようやくCPUがフルに作動するようになった事で、安定作動の限界を突破してしまう例があった。
- 余談
ちなみにWindows7登場前は、HTTを切って使用するユーザーはかなり多く存在していました。
(HTT有効にするとパフォーマンスの落ちるアプリやPC環境が多かったため。)
- Windows XP/Vistaは、実はHTTの性能を十分に発揮できていなかった。
- サイト内参考リンク
Windows7とCore i7のHTテクノロジは相性が良いみたい
私の場合、KP41問題とは無関係に上リンクの様な検証をしていました。
- 同じマシンにWindows7とXPを入れた場合、Windows7の方がマルチスレッドやHTテクノロジーの使い方が上手く、高い処理能力を発揮する。
- 私の手元のPC環境でテストした結果、Windows7の方が平均で10%、最大で20%パフォーマンスが上になった。
- これと同時に、CPUへの負荷も高くなり、正常作動に必要な電圧が増え、発熱量も増えてしまい、XP時代と同じ設定ではBSoDが多発した。
- BSoDが発生しない、安定作動の下限ギリギリの設定を探していくと、同じPCの場合、XPとWindows7 で処理能力は一緒になった。
- サイト内参考リンク2
Core i7のオーバークロック:Prime95だけじゃQPI vの限界が探れないよ編
※これはVistaやXPでも発生していた現象ですが、「当時のCPUの特徴」と言う事で、敢えてここに記載します。
- CPU電圧が「コア電圧/QPI電圧」に分かれたCore i世代のCPUでは、Prime95などのベンチマークが通ってもゲーム系ベンチで負荷をかけるとブルースクリーンが発生する事が多くなった。
- これも、気が付かない場合は謎のブルースクリーンに悩まされる事になります。
- 参考リンク
上記の様な理由で、「Windows XP/Vista ではギリギリ動いていたPCにWindows7をインストールするとKP41エラーが多発する」という状況は生まれていました。しかし原因は意外と分かり易いものだったので、問題視する人は少なかったように思います。
2009~2011年頃の主な対処方法
- 「メモリ電圧を上げろ、電源を疑え、ハードの接続不良を疑え」・・・などの対処方法は、この時代のKP41エラーに対する情報です。
当時はこれで解決していました。 - 不安定な場合は省電力設定を切る、というTipsもこの頃から存在していましたが、通常の利用で不安定になるPC環境はほぼ皆無であり、オーバークロックしない人には無用な情報でした。
- とりあえず「HTTの有無」や「オーバークロックで限界を目指す」系の話題を除けば、「XPやVistaと比較してWindows7の方が落ちやすい」という話が出る事はほぼありませんでした。
とりあえず、ゲーマー、PC自作er他、オーバークロッカーなど、PCに大きな負荷をかける人のPC環境しか問題にならず、解決策も比較的単純な時期でした。
この時代のメーカー製PC、ノートPCについて
この時代でも、メーカー製PCやノートPCでも上記の様な理由(Windows7の方がHTTを上手く使い、フルロード時の負荷が増えた事) でKP41問題は発生していたと思われます。
しかしこれらは、電源またはマザーボードが劣化していたか、元から粗悪品であったか、XPやVistaでの利用を想定し、電圧のマージンが小さめに設定してあったために(個体によるバラツキの下限では)KP41病が発生したのではないか?と推測しています。
残念ながら、そのようなPCではKP41病を克服することは出来ず、XPやVistaのまま利用するか、KP41エラーと付き合いながらWindows7 を利用するしかなかったと思います。
あとがき(私見)
新しいWindowsがリリースされた直後は、新OSではまともに作動しないPCが販売されるケースは多々あったと思います。
- Windows95が登場した直後
- Pentiumマシン、メモリ32MB以上でなければ満足に作動しなかったが、新品の486マシン、メモリ16MBマシンは意外と多かった。
- XPやVistaが登場した直後
- 前項と同様、前バージョン時代の 低クロック低メモリなPCに新OSを搭載、販売していたPCは多かった。
その多くは操作が重く、満足に使用することはできなかった。
- 前項と同様、前バージョン時代の 低クロック低メモリなPCに新OSを搭載、販売していたPCは多かった。
- Windows7が登場した直後
- 前バージョン時代の 安物電源、安物マザーでは満足に動かなかった。
- OSに対しPCが非力だった場合、重くはならないが作動が不安定になった
- 「スペックが足りていない部分」が目に見えにくい形となったため、正常に作動しないPCに頭をかかえるユーザーがいたと想像できる。
という感じで、OSが移行する過渡期のPCには、(ほとんど騒がれなかったけど) この時代も問題はあったのかもしれません。
今回の更新はここまで。
次回更新では、KP41問題がアチコチで語られるようになった2011~2012年頃のトラブルについて語ってみる予定です。
このカテゴリーの内容
- まえおきページ
- KP41病(と思われるPC)の具体的な解決方法
- KP41病の問題の切り分け方を学ぶ
- KP41 病 関連の更新、反省会&まとめページ