先日購入したLumix LX7

をチェックしたくて色々実験。
購入前にアチコチのサイトで動画サンプルは確認したけれど、やっぱ自分で撮ってみないと解らない事も多いのだ。

先に結果画像(LX7 の動画1フレーム切り出し&クロップ)
カメラにお任せ 加工調整後
▲クリックで原寸大に拡大
左: LX7 初期設定。
右: LX7の設定を調整&後からPCで補正。

頑張ればここまで解像感上がる。私の腕だとこの辺が限界。
ちゅうか、カメラ初期設定のまま撮影すると、露出オーバー気味かつ彩度が高すぎ(というか草木が緑すぎ)て、すげー不自然。
(うーむ。通常のスナップに最適なセッティングになっているのかな?)

以下、撮影設定の試行錯誤などのメモ書き。

追記(2013/05/15)

露出補正のセオリーに「森マイナス、空プラス」という言葉があるらしい。この私は言葉をこのページを書いた翌日に知った。
以下の検証は色々とカメラに無茶な要求をしていたっぽい。
カメラに詳しい人には鼻で笑われそうな内容だ。まあ仕方が無い。色々と経験して実感なきゃ理解できそうに無い。内容訂正せずにそのまま残しておく。

ハック済みGH1をお借り出来ました。

LX7購入前、カメラに詳しい知人にアドバイスをお伺いしたら・・・ハック済みGH1を持っていらっしゃいましたw
と言う事で今回、GH1をちょっとお借りさせて貰う事ができ、テストに利用させて頂きました。
(注:GH1・・・・Lumixシリーズの2009~2010年頃の最上位機種。ハックで動画性能(記録ビットレート)が飛躍的に上がる。

以下、LX7とハック済みGH1で「同じ被写体のフルHD動画の撮影」を行い、性能にどれだけ差があるか、LX7の画質をどれだけGH シリーズに近づけられるか・・・なども含めてテスト。

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カメラのセッティング

GH1・・・・クリエイティブ動画
  Aモード(絞り優先モード)
  1980x1080 24p 45Mbps(ハック済み)
LX7・・・・クリエイティブ動画
  Aモード(絞り優先モード)
  1980x1080 60P 28Mbps

ビットレートが大きく違うので、「画質の引き締まり感」「ディティールの表現力」のような差はとりあえず無視して評価する。

被写体の選択

被写体には「雑木林と空」をチョイス。

理由・・・・・・ 価格.comの Pana一眼G5を試してみるの切り出し動画比較が、「納得行かないレベル」でGH2とG5に差が開いていた。この結果にすごく不安があってG5購入に踏み出せなかった。今回のテストでその辺の原因も解れば良いなあ・・・てな気持ちで被写体を選択。

※当日は「晴れ時々曇り」な天気。撮影中は日差しが激しく変化し、影の出かたや明るさが微妙に違う。

GH1とLX7の動画画質比較

動画(1920x1080)の一部を原寸大切り出し。(クリックで等倍に拡大)
カメラにお任せ ハック済みGH1
▲左はLX7 / 右はハック済みGH1
左LX7・・・レンズ絞りは2.3。カメラ初期設定のまま撮影。
右ハック済みGH1・・・・レンズ絞りは5.6。これも初期設定で撮影(のはず)。
(GH1はカメラ持ち主がある程度セッティングしてくれている可能性あり)

  • GH1
    やっぱ解像感すげえ。解像感だけでなく、発色も違います。
    GH1はWBがややアンバー寄りですが、自然な発色。ほぼ見たまんまの色合い・コントラスト。
  • LX7
    露出オーバーして、枝葉の細かい部分が飛んじゃっている。緑や空の発色が「いかにも」な鮮やかさで不自然です。
    • LX7の場合、購入者層や利用目的に合わせて「旅先でスナップ写真を撮ったらアラヤダどんよりした写真だわあ」なんて事にならないようなチューニングなんだろう。Gシリーズ、GFシリーズもそんな感じのチューニングになっているんだろう。
    • 私の場合、出来れば「見た目通り」の写真が撮れるようになっておきたいぞ・・・。そして、もっと動画に解像感が欲しいぞ・・・。

LX7のセッティングを色々調整して行くと、この差は埋まるのだろうか・・・?

LX7の撮影設定を色々変更してみる

以下画像、すべてクリックすると「撮影データ等倍」に拡大されます。
(画像はクロップしています)

初期設定 露出補正-2EV
▲左はカメラの初期設定、右は露出補正-2EV
白トビは無くなったが、彩度が強すぎる。
空はこんなに青くなかったし、緑もこんなに瑞々しくなかった。
でも、とりあえずPCで後処理したくない場合は、この辺でもOKかな?

次に、後からPCで補正したい場合の事を考え、コントラストや彩度をもう少し低く抑えた設定も探しておきたい。

色々なシーンモードを試してみた所、
「ポートレートモード」が一番コントラストを弱く出来る感じ。
そこから更にコントラストや彩度も微調整できる。
ポートレート、全部-2 iDレンジ強
▲左はポートレートモード / 右はそこからiDレンジ 強に設定。
撮影時の詳細設定
 補正 -2.0EV
 コントラスト -2 /  シャープネス -2
 彩度 -2 /  ノイズリダクション -2

  • ポストワーク(PCでの後処理)を考えると、「ポートレート」を選択し、カメラ内の各種補正処理をなるべく低く設定するのが良い感じ。
    (彩度マイナス2はやりすぎたっぽい。人肌に色が乗りにくくなった。)
  • iD レンジは、確かに暗部を持ち上げてくれる。しかし黒潰れした場所には補正が効かない感じで、コントラストの階調が不自然になってしまった。 ・iDレンジを利用する際は、コントラストは下げない方が良さそう。 ・黒潰れが発生するような撮影ではiDレンジの利用は難しそう。

超解像のテスト

超解像-なし 超解像-弱
超解像-中 超解像-強
▲左上: 超解像なし / 右上: 超解像 弱
 左下: 超解像 中 / 右下: 超解像 強
人物モード -2/-2/-2/-2、補正-2.0EV

超解像・・・・いわゆるアンシャープマスク的なものっぽい。
 (個人的にはこのページ超解像サンプルが分かりやすい)
確かに解像感はグっと上がるけど、シャープネスをプラスに振った上に超解像を利用すると、コントラストの激しい部分でオーバーシュートが発生する。
 (オーバーシュートの分かりやすい解説はこちら)
あとiAズームと併用する場合も、オーバーシュートが発生しやすい感じ。

「シャープネス -2」に設定していても、「超解像強」は微かにオーバーシュートが発生する・・・かな?全然気にならないレベルだけど。この辺は好みで設定する。
(私の場合、シャープネス -2と超解像 弱の組み合わせが好み)

絞りや露出を変更してみる

絞りを5.6に変更。露出を-1.0EVに変更、それを元にPCで補正
絞り5.6 加工調整後
▲両方ともLX7録画データの切り出し
 左: 絞り5.6、露出-1.0EV
 右: その素材をPC上で加工
  

加工内容
 ・彩度: -13% / トーンカーブで暗部を下げ、明部を持ち上げる
 ・赤チャンネルの輝度5%ほどアップ
 ・アンシャープマスク: 120% / 半径1px 

「この辺でOK」かな?ってレベルに仕上がった。

最終比較

LX7加工後のデータを、GH1撮影データと比較
ハック済みGH1 カメラにお任せ
GH1-加工調整後 加工調整後
▲左上: GH1撮影: カメラ調整なし PC処理なし
 右上: LX7撮影: カメラ調整なし PC処理なし
 左下: GH1撮影: カメラ調整なし PC処理あり(コントラスト・シャープ・彩度・WB変更)
 右上: LX7撮影: カメラ調整あり PC処理あり(コントラスト・シャープ・WB少し変更)

左下の画像は、撮影時肉眼で見たまんまの状態までほぼ持っていけた。

LX7の仕上がり(右下)が発色がキレイに見えるけれど、GH1(左下)のほうが忠実な色合いで表現してくれている。
LX7で撮影したデータは、実際の空や草木の緑からちょっとかけ離れている。
解像感でLX7がGHシリーズの足元にも及ばないのは購入前から諦めていたけど、色々と頑張れば思ったより解像するジャン?的な結果に。

結果と考察

最初から分かっていた事だけど、LX7じゃどう頑張ってもGHシリーズに勝てそうな気配は無い。
特にダイナミックレンジと解像感では全く太刀打ちできない。
しかし、それ以外の部分は何とかなりそうな感じ。

# と言いつつもGH1は全く設定を弄っていない状態。
# GH1側の設定を詰めていけば、ここから更に差が広がるんだろうなあ。

また、価格.comの Pana一眼G5を試してみるの切り出し動画比較に感じた違和感を、こんな風に理解することにした。
 ※リンク先にも指摘があるように、G5には「クリエイティブ動画モードがない」という問題が、以下とは別に存在する。動画撮影中は、露出やSSの変更にすごく制限がある。

  • フラッグシップ機種とコンシューマー機種では、対象とするユーザーが異なる。カメラのセッティングが変えてある。
  • コンシューマー機はオート撮影の場合・・・・
    • 「サクっと記念写真が撮影できる」設定になっている。
      少し露出オーバー気味に、WBや彩度の調整も、肌色・空・草木などが鮮やかに記録されるように調整されている。
  • フラッグシップ機の場合・・・・
    • オート撮影でもダイナミックレンジの広い設定が選択される。WBや彩度も「見たまんま」または「撮影者の意図通り」の色合いが出るよう調整されている。
  • 追記(2013/05/15)
    レンズの差・ファームウェアの差も微妙に影響する
    参考リンク: 価格.comマガジン 望遠端が甘い?電動ズーム「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm」を検証
    • ※注意: 上のリンクは動画の比較じゃない
    • リンク先の前半
      レンズによっては、ファームウェアをアップデートしなければ正確に焦点を合わせる事は出来ない場合がある。
    • リンク先の後半
      カメラ本体が同じでも、レンズが違えば微妙に解像感も違う。

まとめ

(個人的な予想)デジカメは、消費者のターゲット向けに画質が別個チューニングしてある。

あと、メーカーのカタログページを見ると、ある程度推測できる
例(Panasonic のデジカメ カタログページ)
 ・GH3・・・・黒基調ページ:ハイアマ向け。
    ダイナミックレンジが広く、渋くしっとりした写真がとれる。
 ・G5・・・・・白基調ページ: 子供撮影向け。
    明るくふんわりした写真が撮りやすいチューニング
 ・GF6・・・・白基調ページ: 若い女性向け
    明るくふんわりした写真が撮りやすいチューニング
 ・TZ40 (コンデジ)・・・・海外の夜景をプッシュ:旅行向け。
   明るく、手ぶれ補正が強力。持ち歩いてスナップ撮る用。
   このクラスのコンデジはビックリするくらい白トビするチューニングになっている。

 ・LX7 (コンデジ)・・・・黒基調ページ:ハイアマ向け
   コンデジにしては渋く撮れる。しかし基本スナップ向けなので明るいチューニング。
こんな感じかな?
(上記はあくまでベースの画像であって、各カメラここから細かく設定を弄れるんだけど)

今回のテストした後、Panasonicのデジカメ商品ページを見て「なるほどぉ!なるほど~~!」を連発。カメラによって商品アピールの方向性が全然違う。これ多分、カメラの描写力のチューニングも全然違う方向を向いているんだねえ。本日正式発表されたG6は、商品ページが黒基調ですねえ。初期設定の画質がG5とどれくらい違うかな?(同じだったら私のこの予想は完全にハズレだ(^_^;)

LX7、GF6、G5などの家族向けやスナップ向けのカメラが「オートで撮影したらどんより暗い写真が撮れちゃいました」じゃあ何かと都合が悪いので、こういうチューニングが正解なんだろう。

あとがき

LX7とGH1を比較した場合、レンズとセンサーが違うので解像感が違うのは予想が付いていたけれど、発色、ダイナミックレンジ、露出・・・全てがここまで違うとは・・・予想外。

GH以外が動画のピントが少し甘いのも「顔の小ジワやうぶ毛は映らないように」程度の配慮があるのかも・・・な~んて考えると、少し納得が行く。
(実際問題、TVも映画も一般ウケ狙う作品は若干ソフトフォーカスだよねえ)

コンシューマー機種でも、露出・WB・彩度の調整を行えば上位機種の(初期設定の)画質に近づける事は可能。
上位機種側でカメラセッティングを調整した場合は・・・・多分その遥か上の表現が可能なんだろうな。

なんかGHシリーズの「動画撮影で恐ろしい程にピントが合ってる感」はG6でも難しい気がして来た。ビットレートが高くなりやすく動画が破綻しやすくなるし、そこまでの解像力を望まない人がターゲットになる筈。

蛇足

うーむ。「次に買うのはG6じゃなくGH3・GH2かなあ・・・」って感じに気持ちが動いてきた。
G6が国内リリースされ、ノイズリダクションを思いっきりマイナスに振った動画を誰かがアップしてくれるまでは手を出せないです(^_^;・・・。

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