私の撮影セッティングが未熟なせいもあると思うけど、タイトル通り。

GH5Sで赤い光を撮影すると、なんだかオレンジに転ぶというか、低彩度になってしまうというか・・・・思ったような色で撮影できない事に悩んでいたが、ようやく解決の糸口が見えてきた・・・・というお話し。

まず結論

結論としては
 ・GH5Sのピクチャスタイルで色相を少しマイナスに振る
 ・もしくは動画編集中に色相を少しマイナスに振る

これだけで解決しそうだという感触を得た。

たったそれだけの事なのだけど、この事に気が付くまでにかなり遠回りしてしまったので、このページはグダグダかつ話題がどんどん横滑りしたものになっている。
つまり、結論を先に書いておかないと読みにくいのだ。

まず赤い光のサンプル

以下はGH5Sのステージ撮影データの jpg 切り出し。
赤い光の色を (若干記憶色気味に) 無理やり補正してみたもの。
赤い光を撮影すると、なんだかオレンジに転ぶというか、低彩度になってしまう
この違い、分かるだろうか?(^_^;
実際のこの赤いライトは、オレンジかかっておらず若干ピンクに近いものだった。しかしこのような色はGH5Sで撮影すると、往々にしてオレンジっぽい赤として、そしてやや低彩度で記録されるのだ (※後で分かったが、低彩度に見えても実際にはかなり彩度は高い)。

この赤色が「上手く撮影できない・補正できない」でいつも苦しんでいた。
んで、この「赤光の色転び&低彩度」問題を解決するのはやはり難しいのだなあ・・・・と実感するような「あるWEB情報」を目にした事が、この更新のキッカケとなった。

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「あるWEB情報」のお話し

この更新のキッカケとなったお話し。
今日たまたま見かけた YouTube 動画に、「赤光の色転び&低彩度」問題のヒントとなりそうな情報が載っていたのを発見した。

それがこの動画。
BMPCC4Kの赤色灯問題
BMPCC4Kの赤色灯問題とBMPCC4K vs GH5S ISO比較
上記の動画は、「BMPCC4K は赤色の飽和が早い」という問題を検証・解決するための動画なのだが、私は GH5S と BMPCC4K で赤い光の色味がかなり異なる所が気になってしまった。

私が気になった所

  • BMPCC4K の赤色はややピンク気味に転んでいる。
  • GH5S の赤色はオレンジ気味に転んでいる。彩度も低め。
  • その他の色は、両者のカメラで大きな色の差異はない。赤色だけ、色味が異なっている。(注意してみると、GH5Sの方が緑が濃く、青もシアン寄りか?)

撮影現場にいた訳じゃないので想像になるのだが、おそらくこの赤色灯は、GH5S と BMPCC4K の中間くらいの色で光っていたのではないだろうか。

そして、私は BMPCC4K の出す赤色の方が好きだ。恐らくBMPCC4K の色の方が (体感的には) 実際の色に近いだろう (他人の撮影データを自分の経験で推論するなと言われそうだが)

そして・・・・

  • 私の場合、この検証動画を見て「なるほど、赤を鮮やかに撮れるカメラの場合、飽和するのも早いのだねえ。。。」てな感想を持ってしまった。
  • この件を知ってから改めて自分のデータを見てみると、低彩度に見えても実際には飽和ギリギリ (もしくは飽和している) なケースが結構あることも分かった。(ちなみにこのページTOPの比較画像も、補正後の色はメッチャ飽和してる)
  • 今まで GH5S の赤色光表現に不満を持っていたが、これ見た後でどっちが良いかと聞かれると「GH5S の方が良い」と答えてしまうだろう。

なるほど。あちらを立てればこちらが立たず・・・・といった所か。むずかしい。

ちょっと考え込んでしまった

ここで話題は上記動画から自分の話に変わる。
何度か書いてきたお話だけど、私は舞台撮影をするのが好きだ。
そして GH5S で舞台撮影すると、ここまでで書いてきたように「赤い照明がオレンジに転び、かつ低彩度 (に見える) 現象」がよく発生し、頭を悩ませていた。

そして今回、「赤がよく映るカメラを使うと、今度は色飽和の問題で頭を悩ますことになりそうだ」と、いうことも分かった。GH5Sで「赤がよく映る設定」を見つけても、同じ事が起きるかもしれない。

輝度・彩度の高い被写体をカメラに収めるのは難しいのは解っているが、これはマジで難しそうだ。「これで一発解決!」みたいなセッティングを探すのは無理だと考え、別のアプローチを取るのが良さそうだ・・・・と(ようやく)考えを改めることにした。

・・・・

・・・・

・・・・とまあ、ここまでとりとめもない内容を書き綴ったのだけど、こういうお話は書いてまとめてみるもので、いろいろ書いているうちに、個人的にはコレでイケるやろ、という解決策が見つかったので、さらにメモを残していく。

つまり、ここからが本当の本題。

まず、以下に個人的なステージ撮影時のWBセッティングのメモを記す。
(事項はまだメモ段階。解決方法は次々項)

ステージ撮影時のWBセッティングメモ

まず撮影設定のお話し。
今までの経験から、ステージ撮影ではこんなカンジでWB設定している

  • 3500KB
    ゼラなしタングステン灯がメインの場合はコレ。
    でもKB落としすぎ。赤い光が実用範囲外。
  • 4500KB
    青や緑の光がキレイに撮れる。赤い光はかなりオレンジに転ぶ
    タングステン灯メインかつ薄暗い演出が多い場合、4000まで落とすのが良い。
  • 5000KB
    この辺がいちばんバランスが良い。
    しかし赤い光はまだオレンジに転ぶ。
    • LED灯を多用している場合はこのセッティングでOK
    • タングステン灯を多用している場合、人肌が赤みを帯びやすい。
      アンダー気味の撮影をやめ、かつ編集時に彩度を上げるか、撮影時の色温度をもう少し下げると緩和する?
  • 5500KB
    赤い光はそこそこキレイに取れる。
    しかし青や緑の光が弱くなる。特に緑の光がかなり薄くなる。
    • WBの「調整」を少し緑に振れば、緑の光問題はかなり改善する。
      しかしこれをやると、再び赤い光がオレンジ系に転ぶ。
    • 次回試すメモ
      次の撮影では、WBを5500KBかつ少しシアンに振ってみる。
      もしくは「色相」を-1~-2 (緑・赤 より) にしてみる
    • 光量十分な場合、ステージで人肌をキレイに撮ろうと思ったらこの温度で撮って後でグレーディングするのが楽。
  • 6000KB
    青・緑の光がかなり薄くなる。実用範囲外。
  • WBオート
    赤・オレンジ・青系統で単一色の照明効果があった場合、カメラが勝手にWB調整して色がおかしくなるので却下。
  • ということで、LED灯が多用されるようになった昨今のステージ照明は、大抵の場合で 5000~5500KBあたりにしておけば上手く撮影出来る。
  • しかしたまにタングステン灯で薄暗い演出されると、「生灯り」が見た目の倍くらい赤い照明効果となって記録され、且つなぜかその赤は編集時の補正が大変なので困るので注意。
    ※それでも5000KBあたりが無難か?今のところ答え見つからず。
    ※タングステン灯は光量により色温度が変わる。
  • あと、GH5S や GH4 では、赤い光が飽和すると黄色が目立つようになる。
    撮影データがオレンジを通り越して黄色になってる場合は、色飽和がおきている。
    (オレンジの時も飽和が始まっているのだろうか?)

上記KBセッティングメモを残した所で気が付いた (解決!)

もう色々と手は尽くしていたと思っていたが、前段の文章をまとめているうちに、動画の色補正中に「色相ダイヤルをマイナスに回してみる」という手段を取っていない事に気が付いた。やってみよう。

撮影データ
ピクチャスタイル: ナチュラル
 コントラスト・・・・ -5
 彩度 ・・・・ -5
ホワイトバランス: 5500KB
 WB調整 ・・・・ B+3 G+3

このデータを、Premiere Pro 上で以下の編集を行った。
BMPCC4Kの赤色灯問題
これで「そうそう、この色!この彩度!」という色合いが再現できた。(冒頭の比較画像がそれ)
色相は -10 ~ -20 あたり、彩度は 110 ~ 130% あたりで良い感じになる。ただし、これも万能ではなかったので注意。

注意事項

  • あくまでも赤がオレンジになる&緑の彩度が足りない時用の設定。
  • シーンによっては 色飽和が激しい。彩度を下げる方が良い結果になることもあり
  • 多用される青系の照明はシアンに転ぶ。オレンジ系の照明はピンクに転ぶ。
  • つまり、照明効果別 (シーン別) で補正の度合いを変更する必要あり。編集時に詰めるのが良い

ちなみに PhotoShop 上だとこんなカンジ。
BMPCC4Kの赤色灯問題

上記の色補正をざっくりまとめると
 赤 → ピンクまたは深紅に近い赤
 オレンジ → 赤またはピンク
 緑 → 濃い緑
 黄色 → オレンジ
 青 → シアン
 ピンク → 青に近いマゼンタ

という色の転び方をする。
なぜか緑は濃い緑になり、黄色にならないのはとても謎。

なぜ今まで気が付かなかったのか

過去に (人肌の赤みを消すために) 「色相ダイヤルをプラスに回す」というセッティングを行った際、撮影データ全体の色味が変わってしまい、赤系と緑系の色がすべて台無しになった事があった。これ以来、色相ダイヤルを回すという行為自体を避けるようになっていた。

そうか、マイナスに回した方が (私の好みとしては) 良い結果が出るのか。今まで試していなかったのは迂闊だった。次回撮影時はチャレンジして見よう。

まとめ

  • 色相ダイヤルをマイナス側に回すと、ステージ撮影の赤と緑の照明は意図通りの色合いになる。
  • しかしオレンジ系の色がかなりキツい色 (赤~ピンク系) に転ぶ。
  • ステージでよく使われる青い照明もシアンに転ぶ。

前々段で「撮影時に色相ダイヤルを回してみようか」と書いていたが、これは控えた方が良いかもしれない。撮影時の設定は今まで通り、もしくはほんの少しマイナスで、(赤や緑を強調する必要があるシーンのみ) 編集時に色相を変更するのが良いかもしれない、と自分の中で結論が出た。

このページの情報は以上。

余談メモ

問題にしている赤色は、BT.709 はまだ何とかなるが アナログからDVD 時代まで利用されていた SMPTE170m では表現が非常に難しい色である。この辺の色を「見たまま」もしくは「記憶色に近い」色にするのは、可能であっても視聴デバイスによっては宜しくない結果が出るかもしれない、とも思っている。慎重にやるべし。

  • その他余談 (読み飛ばしてOK)
    • 赤色光がオレンジ気味に転ぶ現象がおきるのは、GH5S に限らずパナセンサー搭載の Lumix デジカメ (つまりGH3やLX7 以外) 全般でありがち。たぶん同じ傾向になる。
    • 他のデジカメの場合はわからない。