Sandy Bridge-E オーバークロック挑戦記の第二弾。
何度もオーバークロックをくり返してきて、ようやくLoad line Calibration(以下LLC)について・・・というかDIGI Power /VRM関連の設定のいじり方がわかって来たので、その辺を中心に色々気が付いた事のメモ。

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VcoreをOffset入力で指定する際に、最大電圧をだいたい狙った所で指定する事が出来るようになってきました。

CPUが求めて来る電圧について

HWiNFO64というモニタリングツールを使うと、CPU Core毎に、不思議な数値が出ている事に気が付きます。CPU-Z読みの数値やBIOSで設定した数値とも違う、別の数値です。

BIOS上でVcoreをManual入力して電圧を固定(CPU-Z読みでほぼ変動しない)にしても、この電圧は変動します。 なんじゃこれ?

HWiNFO64
▲クリックで拡大

ぶっちゃけただのVID情報なワケですが、何十回とオーバークロック設定を変更しているウチにようやく気が付きました。
コレ、Vcore OFFSET ±0.005に設定して[LLC:Regular]を指定した場合のCPU-Z読みの電圧とほぼ同じです。(OFFSET AUTOだと自動でVcoreが盛られるので、この数値にならない)

つまり、CPUがOS(またはマザーボード)に「今、これだけの電圧が欲しいよ~」と発信している情報は負荷に応じて刻々と変化し、HWiNFO64はそれをリアルタイムで読み取っているワケですね。

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余談:HWiNFO64について
HWiNFO64の最新版はX79 マザーにも対応していて、この手の定番ツールCPUID HWMonitorでは拾えないFAN速度やマザーボード上の各種温度情報を読み取る事が可能です。またCPUのCoreごとのクロック数やVID情報なども取得可能。
ただし、CPU負荷が結構高く、常時4~5%のCPUリソースを消費します。
ベンチマーク中はあまり使いたくないソフトです(^_^;

 

3930KのVID

CPU倍率を変化させてもアイドル中(1200KHz時)の要求電圧は変わらないようです。

BCLK 100MHz時のCPU倍率とVID情報の関係表
CPU倍率VID 情報(HWiNFO64読み)
x330.856~1.240
x360.856~1.296
x380.861~1.356
x400.861~1.361
x430.861~1.366
x440.861~1.366
x450.866~1.381
石によってVIDは微妙に異なると思いますが、こんな感じになりました。
(他にもコンセント抜き差しやCMOSクリアでも、この値は微妙に変わるっぽい)

 

Load line Calibrationを設定して、HWiNFO64で計測してみる

Load line Calibration(LLC)を設定して、HWiNFO64で計測してみると、LLCはTurboMode発動時に結構電圧盛ってくれるのが分かります。アイドル中の電圧は変わらないようです。

Prime95を5分程度走らせて読み取った結果の表

CPU倍率
VID 情報(LLC:Regular)MediumHighUltra High
x380.861~1.356
x400.861~1.3610.866~1.366
x430.861~1.3660.866~1.3720.866~1.4010.866~1.446
x440.861~1.3660.866~1.3720.866~1.4010.866~1.431
x450.866~1.381
0.866~1.4160.866~1.446
▲Linpackなどを使うと、もう少しVcoreが上がります。またx44,x45は途中でフリーズしたので正確な数値ではありません。

 

LLCが盛ってくれる電圧の目安

LLCがCPUに盛ってくれる電圧は、LLCのレベル(Reg/Med/High/UL-High)に応じてほぼ一定のようです。

自分の所以外の環境で同じ数値が出るか疑問ですが、(Prime95レベルの負荷で)だいたい以下な感じでした。
  Regular・・・・なし
  Medium・・・・+0.005V
  High・・・・・・・・+0.035V
  Ultra High・・・+0.065V
くらいでしょうか?

この挙動が掴めてくると、OFFSETの数値とこのLLCを併用する事でかなり狙った通りの電圧設定を行える事が分かってきました。

 

Load line Calibrationは、一般的には「CPUは高負荷になった際に、電圧の下降が起きないようにするための項目」となりますが、、、下降を防ぐ前にかなり盛っているんですねw

VcoreのManual入力時は、アイドル時にもこの電圧が盛られる

LLCをMedium以上にして、BIOSからVcoreをManual入力すると、アイドル中も「手動入力した電圧」に加え、LLC分の電圧が昇圧されるようになります。

BIOSの電圧、LLCの電圧の図
▲クリックで拡大
TurboV EVO上で表示されるVcoreは、BIOS上でマニュアル入力した数値(現在の値を読み取っている訳では無い)
CPU-ZにはLLCで昇圧された分も加えた「リアルタイムなVcore値」が表示されます。

アイドル中もフルロード中も、LLC分の昇圧は常にかかっています。
LinpackやPrime95等の極端に高い負荷がかかる場合は、そこからもう少しだけ(0.005~0.01V)電圧が加えられる場合もあります。

こちらも電圧追加分は
  Regular・・・・なし
  Medium・・・・+0.005V
  High・・・・・・・・+0.035V
  Ultra High・・・+0.065V
くらいな気がします。

石により個体差があるでしょうから、気になる人は各自が手持ちの環境で確認して見る事をオススメします。

余談&注意事項
ちなみに、VcoreをOffset指定で入力した場合、TurboV EVO上で表示されるVcoreにはPC起動時にマザーボードが読み取ったVID情報のMAX電圧が指定されます。これ、微妙に安定しません。PC再起動する度に±0.005Vくらいは変動します。ギリギリまでVcoreを詰めてセッティングする場合は、このマージン分くらいは余裕を持たせる事が必要。

 

Load line Calibration(LLC)について2

上記が分かった所で、改めて検証。
高負荷時、LLCはどれくらい有効なのか?

Prime95が[落ちる/通る]ギリギリの所で詰めている最中だったので実験。
アンド Vcore Offset/Manual でLLCの追加電圧分をあらかじめ見積もって電圧設定してみました。

テスト環境
BCLK: 100MHz
CPU:  倍率 x44倍 (4400MHz)
Vcore: CPU-Z読み1.344V
Prime95が1時間通るけど、6時間は(多分)通らない状態

VcoreをManualで入力
3930Kを4.4Ghzにオーバークロック-manual
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VcoreをManualで1.270Vに指定。
[LLC:Ultra High]で電圧が+0.074Vほど追加され、Vcore1.344Vで3930K 4.4Ghz作動が安定しています。

Vcoreをoffsetで入力
3930Kを4.4Ghzにオーバークロック-offset
▲クリックで拡大(右クリックから別窓表示推奨)
VcoreをOFFSETで-0.02Vに指定。Turbo EVO読みで 1.340Vになっています。
[LLC:Medium]で電圧が+0.004Vほど追加され、Vcore1.344Vで3930K 4.4Ghz作動が安定しています。
(CPU温度が5℃位高いのは、室温も5℃くらい上昇したためと思われます)

安定度は[LLC:Ultra High]の方がやや上
上記2枚のスクリーンショットの状態では、どちらも安定してPrime95が1時間通りますが、そこから少し電圧を下げてみると、両者の微妙な違いが観察できました。
  • [LLC:Medium]
    電圧を2段階(0.010V)下げるとPrime95が3~5分前後で落ちるようになります。
  • [LLC:Ultra High]
    電圧を2段階(0.010V)下げてもPrime95が30~50分は走ります(結局落ちるけど(^_^;)
  • どちらの場合も、Linpack で全メモリ計算させると1.368Vあたりまで昇圧する。10~20分なら耐える。
  • 1段階(0.005V)下げた所では、Medium・Ultra Highの差は微妙(どっちも30~50分あたりで落ちる)

LLCを上げれば上げた分だけシステムが安定するのは確かですが、その差は非常に僅かなモノなような気がします。

と言う事で、ここまで来た

オーバークロック初日にチャレンジしてブルースクリーン連発だった
 BCLK:  100Mhz
 CPU倍率: x44倍
で、ようやくPrime95とLinpackが通るようになって来た。

初日にチャレンジした時でも、Vcoreは十分に足りていたみたい。
   Vcore: 1.376→ 1.344でOK
   VCCSA: 0.890 → 0.900 (offset +0.010)
   VTTCPU: 1.00500 → 1.07500 
Vcoreチョロっと下げてVCCSAとVTT少し盛ったらベンチ走りました。
(VTTがちょっと高いかなぁ。。。)

設定の詳細1
46倍 HT ON のセッティング
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Vcoreは Offset Mode -0.02V。
上記から、[LLC:Medium]の恩恵でCPU-Z読みVcore 1.344Vとなります。
(LLC:Highにすると OFFSET -0.05でも高負荷に耐えるけど、アイドル時がやや不安定に。。。)

設定の詳細2: DIGI Power
46倍 HT ON のセッティング
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4.4Ghz(HT on)までオーバークロックしたら、Linpackを10~20分通すのがキツくなってきた。
VCCSA Load line Calibration / VCCSA Current Capability を少し盛らないとPrime95は通ってもLinpackは通らない (少し盛りすぎたかも。後でもう少し詰める)

今はまだギリギリの所で詰めているので、Linpack1時間以上とか、Prime95を6時間以上とか走らせたら多分落ちる。長時間走らせるのは、もう少しデータを集めてから。

あとがき

私の石はPC自作板の「【SandyBridge-E】オーバークロック報告」4.3~4.5GHz帯の報告している人のモノとほぼ同じ数値に治まりそう。
でも、SandyBridge-EのOCはVcoreやVTT以外にも、VRM回りも重要になってきますねえ。ギリギリのラインでOC耐性を探ってみると、DIGI Powerの中身をどう弄るかで微妙に結果が違ってきますわ。

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