以前のこの更新の続き。
かなり長いページだけどチラ裏要素が強いです。
Canon EF 24-70 F4L
TAMRON SP 24-70mm F2.8 A007

この2本のレンズを借りてきて、Speed Booster + GH4 という組み合わせで遊んでみた時の記録です。

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Speed Booster + GH4という組み合わせに「Lレンズ相当の高画質な標準域のズームレンズが欲しくなった」という事で、いくつかのレンズに目星を付けてアチコチからお借りして、レンズの評価をしております。

このページでは、EF 24-70 F4L と SP 24-70mm F2.8 A007 で実際に写真撮影した時のデータを記録しています。

開放(無限遠)の画質比較

ざっくりまとめ

という事で以下、まずは焦点距離35mm(GH4側25mm/換算50mm)の撮影データ。いずれもピクチャースタイルStd 0/0/0/0で撮影。jpg撮って出し。
※注: SP 24-70mm F2.8 A007 は(AFで無限遠が出ないため)MFで撮影した。

中央部をピクセル等倍に拡大
A007、焦点距離35mm、中央
A007、F4L、どちらも開放から文句なしの写りをしてくれる。殆ど違いはない感じ。
ぱっと見た感じでは
A007 (F4.0) ≧ EF 24-70 F4L (F4.0) >A007 (F2.8)
という感じなのだけど、この辺はレンズの個体差によって結構変わって来ると思う。

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左周辺部をピクセル等倍に拡大
A007、焦点距離35mm、左周辺部
周辺はF4Lが圧倒的に上。
A007は解放だと流石に甘いが、一段絞ると十分使えるレベルに。
F4Lは周辺画質に流れが殆どなく、ホントすごい。

左周辺部をピクセル等倍に拡大
A007、焦点距離35mm、右周辺部
左周辺と同じ。

中央は解放から全く問題なし。
周辺 (と言ってもAPSC相当のサイズにクロップされているのだけれど) も、1段絞ればほぼ問題ない。周辺の流れも少なく良好。

その他メモ

レンズ内手振れ補正が有効になっていると (レンズが動くので、特に周辺の) 画質が甘くなる、というお話を聞いたことがあるのだけれど、F4Lは周辺がほとんど劣化していない。すごい。(ただしF4L+GH4は手振れ補正はほとんど効かない(1段分くらい))

レンズの焦点距離70mm(GH4側49mm/換算98mm) テレ端

こちらもjpg撮って出し。ピクチャースタイルStd 0/0/0/0で撮影。
中央部をピクセル等倍に拡大

A007 絞り開放F2.8(F2.0)
焦点距離49mm/絞り開放F2.8

A007 絞りF4.0(F2.8)
焦点距離49mm/絞りF4.0
ピクチャースタイルStd 0/0/0/0で撮影。
※他の焦点距離と比べてちょっと甘い。微妙に手ブレしてるかも。
※テレ端はF4.0にしても開放とあまり変わらなかった。

EF 24-70 F4L
F4L、焦点距離49mm/絞りF4.0
jpg撮って出し。絞り開放F4.0(F2.8)
ピクチャースタイルStd 0/0/0/0で撮影。
こちらもテレ端は少し甘い

多少甘くなる、と言ってもまあ満足できるレベルです。しかし・・・・

※以前撮影したデータ
EF 24-105 F4L II型/EF 24-85 F3.5-4.5
EF 24-105 F4L II型とEF 24-85 F3.5-4.5
jpg撮って出し。絞り開放F4.0とF3.5
ピクチャースタイルStd 0/0/0/0で撮影。

あれ?明らかに画質ワンランク下のEF 24-105 F4L II型や、さらに下のEF 24-84 F3.5-4.5の方が良く写っている?

撮影した日の天候が違っていたり、SP24-70 A007とEF 24-70 F4Lでテストした日は体調が最悪だったり・・・・という事もあったのだけど、その辺も関係してくるのかな?
それとも、電線の太さは1~3pxくらいの太さだし、GH4のセンサーと現像エンジンではこの辺が限界で、どれも同じ程度にしか映らない・・・・ってコトなのかな?

室内実験

70mmの画角で3mほど離れた場所のメモ用紙を写してみる。
4本のレンズを同じ条件で比較
▲クリックでピクセル等倍に拡大(640x1150程度)
すべてstd 0/0/0/0で統一。レンズは解放で撮影。
SP 24-70 F2.8 A007が一番良く写っている感じだけれど、正直な所あまり変わらない。

でも、EVF覗いた時の画質やMFのしやすさは、明らかに
24-105 F4II>A007>その他
の順でかなりの差があった。
※ EF 24-70 F4Lは撮影データなし(あまり変わらないと分かったため)

こういうテストは無駄なのかも?という気がしてきた

EF 24-105 F4L II型で撮影した時も感じたことだけど、「EVF越しに見る絵はレンズによって随分違うのだけど、こういうテストで撮れた写真にあまり違いは出ない」というのは今回も実感できた。なるほど、ある程度は画質の悪いレンズでなければ、この方法でチェックするのは無駄なのだ・・・・という事がようやくわかって来た。

かといって、チャートを入手して本格的な解像度テストをする気はない。。。というか、私の場合、被写体まで15m~無限遠でのテストを行いたい。実際にあれこれ撮影する方が実感が湧く。でも今後はテスト方法は少し考え直そうと思った。

5m以下の近影撮影

SP24-70 A007の方が圧倒的に楽しい&AFも正確で速い。
A007はSpeed Boosterを介すとF2.0相当のレンズになるので、今までm43のズームレンズで味わった事のないボケを楽しめた。

被写体まで3~4m、背景まで7~8m
被写体まで3~4m、背景まで7~8m
▲クリックで拡大
ズームレンズでこの位の距離でも背景がうっすらボケてくれるのは、何だか嬉しい。
ちなみにEF 24-70 F4Lは、こういう構図で撮ると背景にピントが合うことが多く、何度も撮り直しが必要になった。

寄った時の写真

EF 24-70 F4L
寄った時の写真(EF 24-70 F4L)
▲クリックで拡大するとピクセル等倍写真
この場合でも、EF 24-70 F4Lは何故か一番手前の花にフォーカスが合う事が少なくこんな感じの写真になる事が多かった。まあ、これくらい寄る時はMF使うので実害はない。でも気になる。

A007はちゃんと手前にフォーカスが合う事が多かった。
A007はちゃんと手前にフォーカスが合う
▲クリックで拡大
最短撮影距離0.38m。結構寄れる。
何も考えずにAFしてこんだけ写れば満足
私はマクロ撮影ってほぼやらないので、コレくらい寄れれば十分。

上記写真の中央部分を等倍に拡大
中央部分を等倍に拡大
▲クリックで拡大するとピクセル等倍写真
日の丸構図だったコトもあるのだろうけど、この距離でAF迷わなかったのが嬉しかった。

A007は、5m以下の距離であればAFは早く正確で、狙った所に「コンコン」とピントが合ってくれる事が多かった。(純正レンズより数倍は遅いけど、気にならないレベル)

使ってて不満を感じた部分

SpeedBooster にEF 24-70 F4L、24-105 F4L II、TAMRON SP 24-70mm F2.8 A007を付けてみる」でも書いた事なのだけど、以下が非常に気になった。

SP24-70 F2.8 A007

  • AFで無限遠が出ない (MFで無限遠は出る)
  • 被写体と15m以上離れるとAF迷いやすい。AFの歩留まりが50%を切る
  • MFで電子距離計がバグる
  • GM5で手振れ補正が効かない
    • シャッター半押しまでは手振れ補正は効く
    • 動画撮影時は手振れ補正は一切聞かない
    • GH4ではいずれも正常に作動する
  • Speed Booster EF to m4/3 S では TAMRON SP 24-70mm F2.8 A007 は正常に動かない

EF 24-70 F4L

  • 動画撮影時のAF速度が非常に遅い (EF 24-85 F3.5-4.5 の倍くらいかかる)
  • 4K動画撮影でタッチフォーカスを使うと、AFはさらに遅くなる。AFが作動するまでに1秒くらいラグがある。
  • 被写体と5m以下のAFでピントが背景にヌケる事が多いが、それ以上の距離なら正確に作動する。
  • 手振れ補正の効きが悪い。1段分くらい。
  • 近影ショットで他のレンズよりフォーカスが後ろに抜けやすい。
  • 三脚に乗せた時、ズームリングを回しにくい

どのレンズを購入するか?の結論

「撮ってて楽しい」と感じるのは TAMRON SP 24-70mm F2.8 A007の方だった。最初は825gという重さが気になっていたが、いざ使ってみると「重さ」より「楽しさ」が上回った。

しかし当初の目的を考えると、、、、

※当初の目的

  • 舞台を4K動画する。舞台までの距離は5~20m。
  • クロップしてFHD化するので周辺までしっかり撮れている事が重要。
  • 三脚撮影しても床の振動などでブレるので、それを抑えるくらいの手振れ補正機能が欲しい。
  • レンズの明るさはGH4側でF2.8が必要。
  • ズームでF値が変化しない通しレンズが欲しい

A007はAF/MF共に不安定で、GM5では手振れ補正が効かない事を考えると不安だらけとなったので、消去法でEF 24-70 F4Lを購入する事にした。

後日談: 舞台撮影に投入した結果

Canon EF 24-70 F4L購入後、早速ステージ撮影に使ってみた。その時のメモ。

  • 4K撮影したデータは隅まで フォーカスが合ったデータとなり、(ピントが合っている個所では) とても満足できる結果となった。
  • EF 24-70 F4Lで撮ったデータは周辺部までクッキリ写っていて非常に使いやすい。
  • ただしAFは EF 24-85 F3.5-4.5 より数倍遅く、非常に使いにくかった。
  • AFが盛大に迷うことが多く閉口した。
    またAFが不正確でピンボケになったシーンが多くて閉口した。
    • ただし、このステージは、NIKON D7200 でスチル撮影していた知人もいつもの4~5倍くらいフォーカスを外していた。
    • 照明効果やその他の原因でAFが外れやすい要素が多かったのかもしれない
  • 手振れ補正は、三脚や床の振動をほぼ吸収してくれた。
    パンした時に手振れ補正による不自然な揺り戻しは気にならないレベルだった
  • ズームでレンズの明るさが変わらないのはやはり嬉しかった
    • ただし EF 24-85 F3.5-4.5 はズームしてもフォーカスシフトがほぼ発生しなかった。
    • EF 24-70 F4L は気になるレベルでフォーカスシフトが発生するので、ズームする度にフォーカスの調整が必要だった。

意外と課題の残る撮影になってしまった。
んじゃあ、舞台撮影をNFD35-105 F3.5やEF24-85 F3.5-4.5に戻すのか?と考えると、総合的にみるとやはり F4Lの方が使いやすい&取れたデータもキレイ。コッチの方が良い。次回の実践投入までにこのレンズをもう少し使い込んで、MF/AFの勘所を掴む必要がありそう。

でもこんだけアレコレと思案したのに、あと1~2回撮影した所で「私の欲しいレンズはコレじゃなかった」とか言い出しそうで怖い。とりあえず4K動画撮影でも使えるレベルまでMFの腕を磨こうと思った(^_^;