表題通り、Illustrator のファイル保存にとても時間がかかるようになってしまった。しかもファイル保存中の数分間は Illustrator は完全にハングしてしまい、操作不能になる。こんな問題にぶち当たったのでメモを残しておく。
問題が起きた時の状況
- このたび、ファイルサイズ1GBを超える巨大な1枚絵 (PSDファイル) を作成する事になった。
- ※ キャンバスサイズは 16,000px X 12,000px、レイヤー数は約40。
- ※ ファイルサイズが1GBを超えるような1枚絵のデータ制作はこれが初めてのこと。
- で、この1枚絵を Illustrator に読み込み、ベクタデータや文字情報を加えて印刷屋さんに納品する予定。
- しかしこの1GBを超えるPSDファイルを含んだ ai ファイルは、保存にとても時間がかかる。そして 5~6分もの間、Illustrator が操作不能になるのだ。
- ※ Ryzen 2700X + DDR4 3000Mhz のメモリ32GB を搭載したPCでこの速度なので、SandyBridge世代のPCだとこの倍くらいの時間がかかるかもしれない。
ちなみに巨大な画像と言っても、PhotoShopで編集している時は30秒程度で保存が終わる。aiで保存する時はいったい何が起きているのだ。。。。
原因は aiファイル保存時の設定「PDF互換ファイルを作成」
aiファイル保存時の以下設定が原因だった。
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- ファイル保存時に「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れると、それがリンク形式の画像であっても aiファイルの内部に画像データが生成される。
- この時生成される画像は、PSDのままではなく何らかの変換処理が入る。
- よく見ると、保存された aiファイルは400MBもの大きさになっていた。
(画像を含めない時は2MB程度の容量)
- よく見ると、保存された aiファイルは400MBもの大きさになっていた。
- psdファイルのキャンバスが大きかったり、大量のレイヤがあったりすると、この埋め込み時の「画像変換の処理」にとても時間がかかるのだ。
- 更に言うと、この処理はシングルスレッドで処理されるらしく、16スレッドのCPUの場合は画像変換中のCPU使用率は1ケタ台。Illustrator が操作不能な状態で、5~6分の間、この状態が終わるのを待たねばならないのだ。
という事で、今回の結論
巨大なpsdファイルを作成しそれをリンク形式で Illustrator に貼り付ける場合、最終的な入稿データを作成する直前までは「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れないで作業するのがよい。
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※補足注意: 納品先によっては、入稿データでも「PDF互換ファイルを作成」のチェックは外すよう指定してくるところもある。
ここ10年くらいは Illustrator や PhotoShop では PCスペックの限界に挑むようなデータを作成していなかったので、PDF互換形式でこういう弊害が出ることに気が付かなかったのだ。
その他メモ
最近、PC内のフォント環境を大幅に刷新した。
フォント埋め込み許可ライセンスの入ったOpenType フォントを揃えたため、PDF互換のチェックを有効にしても 何の問題もなく ai ファイルを保存できるようになったのだ。
参考: ttc 形式のフォントを多用していたころ
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ttcフォントをメインで利用していたころは、PDF互換で保存するとこのような警告が表示されていた。
※従来の ttc 形式のフォントの場合、フォント埋め込み許可に関する情報はファイル内に記載されていない。なので「PDF互換形式」を選択すると上図のようなエラーが発生し、正常な保存ができなかった。
という事で、最近は「PDF互換~~」にチェックが入っていてもフォント関連の警告が出ないようになったため、この項目は常にチェックが入った状態にしていたのだ。そして、このチェックが入っていると Illustrator がどのような挙動になるか、最近までよく知らなかったのだ。
やはり、フォント埋め込みが可能な場合でも、普段はPDF互換のチェックは外しておいた方がよい。
今回参考にした外部リンク
- Illustrator CC以降 多くの画像を配置していると保存に時間がかかる | Adobe Community
- Illustratorで保存時間を早く、ファイルサイズを劇的に小さくする簡単な方法|メールマガジン[吉田印刷所 発行]
今回の更新は以上。