前回「PC-9801時代の5インチFDをWindowsで読めるようにする」の続き。
イマドキのWindows用PCで、PC-9801時代のフロッピーディスクを読めるようにする作業を個人的にまとめてみます。以下、5.25インチFDDを組み込んでの作業になります。
3.5インチのFDDの場合は各自必要な部分のみ内容を読み変えて下さい。
しかし3.5インチはまだまだ入手もしやすく、USB接続タイプでも3モードを認識するものも新規購入でき、ドライバも付属していたりしますので、もうしばらくは安泰でしょう。
まず注意:FDDの3モード対応とは?
3.5インチFDドライブと、5インチFDドライブは、全く別物であると考えなければいけません。
フロッピーディスク - Wikipedia
3モードフロッピーディスクドライブ - Wikipedia
3.5インチFDDは
- 99年頃までのPC-98機用の3モードドライバは、
「720KBの2DDと1.23MBの2HDが読み書き出来る2モードのドライブを拡張し、1.44MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したもの」 - DOS/V機用の3モードドライバは
「720KBの2DDと1.44MBの2HDが読み書き出来る2モードのドライブを拡張し、1.23MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したもの」
全く別物です。PCとドライバの組み合わせを間違えると動きません。
通常(日本の)3モードFDDとは、3.5インチFDDの、720KB(2DD)と1.23MB(2HD、PC98用)、1.44MB(2HD)3種類のディスクを読めるものを指します。
5.25インチFDDは
- 2DD :約 640kB - 720kB
- 2HD :約1MB - 1.2MB
これはPC98用でもDOS/V機でも変わらない様ですが、フォーマット形式が
- PC98用:1024B/セクタ
- DOS/V機用:512B/セクタ
と異なっており、3モードFDDとは、DOS/V用の2DDと2HDに加え、PC98用の2HD形式でフォーマットされた2HDの読み書きが出来るタイプのものを指すようです。
それ以外の形式でフォーマットされた形式は、読める場合があるようですがフォーマットや書き込みは出来ないと考えておいた方がよい。
WindowsMeあたりまでは、マザーボードとBIOSが3モード対応の5インチFDDを認識すれば自動的にこの3モードドライバが組み込まれるようです。
(最近のマザー、BIOSでは、まず5インチFDDを認識しません。2000年頃までのPCが無難だと思います)
5インチFDDの購入
5.25インチドライブ、3.5インチドライブどちらの場合でも言えますが、大前提としてドライブ自体が3モードに対応している事をしっかり確認する。
マザー、BIOS、OSなどは多少問題を抱えていても解決手段はあるみたいですが、ハードそのものが対応していないのであればこのページの情報は適用できません。
ポイント
- DOS/V機用を選ぶ。PC-98用を選んではダメ。
- ケーブルも5インチ用のコネクタがあるものを選ぶ。
- 作動確認の取れている物を。
- 信用のあるお店、Yahoo!オークションでマイナス評価の無い業者から購入
慣れてくれば、ジャンク品を購入すれば1/10程度で済む。
しかし購入したFDDが動かなかった場合に
- FDDが壊れているのか
- マザーボードが対応していないのか
- 正しいドライバがインストールされていないのか
など原因の切り分けが難しいので、初めてチャレンジする時は「信用のあるお店で・作動確認の取れているモノ」の購入は必須。
PC、OSの選択
- PC-98のFDフォーマット形式のサポート(ドライバ添付)はWindows Meまで。それ以降はサポートされていない
- 新しいPC(マザーボード、BIOSでは)5インチFDDはサポートされていない場合が殆ど。
ベストはWindows 98SEがプリインストールされて販売されていた日本メーカーのPCあたり。
実機での手順
今回購入したDOS/V用 3モード対応の5.25インチFDDを接続したのは以下のマシン
PC:eMachines J2508
発売時期:2003年秋
マザーボード:FIC(First International Computer) VG33
Chipset:Intel Gi845E
CPU:Celeron 2.5Ghz(NorthWood、ソケット478)
マザーは既にAGPやPentium4のHTをサポートしている時代のもの。
この時点で一筋縄では行かない可能性がプンプンします。
組み立てで気を付けること
気を付けるのはコレくらい。
ケーブルのネジれている先についているコネクタから接続するとマスター(Aドライブ)、ねじれの手前に付いているコネクタから接続するとスレーブ(Bドライブ)として認識される。
どちらに接続してもOKだが、マザーボードによっては初めからBドライブは認識できないものもある。最初の確認はAドライブにするのが無難。
5インチ用のコネクタは逆向きでも刺さってしまう(もちろん認識・作動しない)事が良くあるので注意。
PC起動
PCを起動したらまずはBIOS画面へ。
ここで手動・自動を問わず5.25インチフロッピーが表示されるようなら、そのPCで9801時代の5インチフロッピーが読み込める可能性は高い。
▲ウチでは。。。。3.5インチドライブとして認識されましたorz
手動でいじろうにも、設定変更すら出来ません。
▲ドライブのモード設定画面に移っても、、、、
720KB、1.44MB、2.8MBの3モードから選択可能。
2.8MBの2ED形式がサポートされています。
これは無理かも。。。
少し諦める覚悟は出来てきましたが、それでもBIOSで認識されない位でメゲるのはまだ早い。
経験上、ハードが壊れていなかったらなんとかなる事が多いです。Windowsってのはコンピューターのクセにすげー曖昧。良く解らないけど動いちゃったとか、良く解らないけど動かないとか、日常茶飯事で起きる。とりあえず先に進みます。
OSの準備
一旦FDDを正規の3.5インチにつなぎ変え、5インチFDDの3モードがサポートされているOS(95、98(SE含む)、Meあたり)をインストールします。我が家では辛うじてパッケージ版Windows98(非SE)が1ライセンス残っていました。
eMachines J2508(HDD80G)にWindows98をインストール。80GB全てをWin98に使うのは勿体ないのでFDISKで4GB程度のパーティションを二つ作り、残りはWindows2000あたりでデュアルブートで使用する事にしました。
(2000を使う理由:J2508に付属していたXPインストールディスクではHDDのパーティション含めHDD全てフォーマットされデュアルブート出来ない為)
Windows95、98あたりは2.2GHz以上のCPUをサポートしていない筈ですが。。。。
▲Celeron2.5GhzでWindows98をインストールできた!
なんとか動いています( ̄▽ ̄;)
ちなみに電源入れてから起動まで10秒かかりません。
オーバースペック万歳です(笑)
ただし、CPUは正しく認識されていません。
▲セレロンの筈が、正しく認識されていない。
▲デバイスマネージャー上では「?」の嵐。
i845Eチップセットも、グラフィックカード(ATI RADEON9600)も、ドライバはWindows98SE以降のものしか入手出来ません。
▲と云う事で640X480 16色オンリーでしか使用できません。トホホ。。。
でもCPU、マザー、GPU全て正しく認識されていないこの状態が、逆に2.5GHzでWindows98が作動できている原因かも。
でも、とりあえず98用5インチFDが読めれば良いのだ。と言う事で細かい事は気にせず先に進みます。
OS上からの5インチFD認識
再びフロッピードライブを5インチ品に取替え、Windows再起動。
もちろんPnPには対応していないのでドライバの自動更新は無く、フロッピーを差し込んでも「フォーマットされていません」となるか、文字化けしたファイルが表示されるだけ。
▲こんなカンジ。
▲手動でドライバを更新します
▲IBM・Fujitsu・Toshibaあたり、メジャー所の3モード対応ドライバを片っ端から試してみます。
最悪の場合OSクラッシュしたり、FDD自体が壊れるかもしれないけど、何に使われていたドライブかがわからなければそれ位の覚悟で。
NECのドライバはこのページの先頭辺りに書いた情報の通り、設計が異なりますので、メジャー所でも対象からは外しておきます。
ドライバを適当に6~7回変更していると。。。
▲Fujitsu3-mode Floppy(DESKPOWER A(96S))を適用した所で、見事にPC-9801で作成したFDが読み込めるように!
中古5インチFDドライブ、BIOSレベルで認識できなくても、諦めなければなんとかなりました。
▲ちなみにFDをフォーマットしようとするとこんな画面。
PC-9801向けのフォーマットは出来ません。
これはWindowsの仕様です。
追記補足(2014/07/19)
3.5インチFDDの場合は、Windows8でもPC-98のデータを読み込んだりフォーマットしたりが可能なようです。
Windows 8にてフロッピーディスクをPC98形式でフォーマットする - CELLA.DAT
コメント欄で教えて頂きました
シェアウェア「読めるぞ1.2!」または「仮想FDファイル変換」を使う
実は上記の様なトライアンドエラーで様々なドライバを試さなくても、一発で正しいドライバをインストールしてくれるシェアウェアが存在しています。
「読めるぞっ1.2!」・「仮想FDファイル変換」というツールで、各2,079円。
・どちらか一方があればOKです。
・読めるぞっ1.2!は現在2000/XPのみ(Vista以降が非対応になった)
・仮想FDファイル変換は 7/Vista/XP/2000に対応。
・FDDの自動判別ソフト付き。
・14日間の試用期間あり。
ドライブの型番が解らない、ドコのメーカーのドライバを入れて良いのか解らない、等々もこのソフトは自動で対応してくれます。
「手持ちのフロッピードライブは3モードに対応している筈なのに、どうしてもPC-9801で書き込んだFDが読めないっ」って場合はこれを利用してみましょう。
注意:読めるぞ1.2!/ 仮想FDファイル変換は3.5インチドライブ用のドライバです。
全ての5インチドライブで作動するものでは無いそうです
▲読めるぞ1・2!で(Win98上で)PC-9801形式の5インチFDを読み込んだ所。
フォーマットは相変わらず2モードのみ。5インチフロッピーのフォーマットは無理かもしれません。
試しにOSをWindows2000に変更し「読めるぞ1.2!」をインストールすると。。。
▲フォーマットに1.23MB、1024セクタ(PC-9801の形式)出現!
5インチFDDでもキチンとフォーマット出来ることも確認しました。
これは地味に便利かも。
同ツールは、試用期間中でも非常に簡単に最適なドライバをインストールしてくれますので、WindowsMe以前のOSでも「まずは作動するか確認」するだけでも十分有用なツールだと思います。
その後、各社が提供しているドライバを総当りで作動確認するもよし、そのまま購入するも良し。
そして2000、XP、Vistaでも使用できるバージョンも販売されているので、今回の様にBIOSが正しく認識しない状態でも読み書き出来た事を考えると。。。。
読めるぞ1.2!を使えばわざわざ古いPCを引っ張り出さなくても、今のPCに繋いでも作動出来たかもしれません(>_<)
以上、PC-9801で作成した5インチFDのデータをWindowsマシンで読み込む手順の紹介でした。ドライブさえ3モード対応していれば、マザー、BIOS、OSが対応していなくてもなんとか出来る可能性は残されているようです。
PC9801用FDから取り出した一太郎Ver.3のデータも、ジャストシステムが配布している無料ツールで読めるようです。(コチラ≫Windowsで一太郎3 (PC-9801) の文書ファイルを読む・編集する )