まずは、「動画エンコ」とは何なのか?何の為に「動画エンコ」するのか?から語った方が良いのでしょうか?
いざ説明をしてみようと思うと、あまりに漠然とし、かつ扱う範囲が広く、「動画エンコで何がしたいのか」が人それぞれで全く違います。

いきなり全ての事について詳しく書く事も大変ですが、私自身が 個人的に興味の無い所まで詳しく知っているわけでも無いので、少しずつ、かいつまんでの説明になります。

まずは動画エンコとは

このサイトでは「動画エンコ」と度々称していますが、「エンコ」とは「エンコード(encode)」の略です。

encodeとは、「符号化する」と云う意味を持っており、動画エンコとは、動画のデジタルデータを、コンピューターが膨大な計算によって符号化し、保存するデータ量をなるべく小する作業の事をあらわします。

エンコードの事を「圧縮」と呼ぶ人もいます。また、エンコードの逆の言葉で、「デコード(decode)」「伸張」「再生」と云う言葉が使われます。エンコードした動画は、そのエンコードの方法別に「コーデック(Codec)」という圧縮・伸張を行うプログラムが必要になります。この場合zipやlzhなどの圧縮ファイルの様に「解凍」や「展開」と言う言葉はまず使いません。

上記を詳しく知りたい方はWikipedia等で各自勉強してみましょう。
以下に書く内容は、かなりざっくりとした説明で、間違っている場合や、内容を省略しすぎて不適切な説明になっている可能性もあります。

動画エンコで重要な事

動画エンコで重要な事は、以下の4点に尽きると思います。

  1. 元の動画と比較し、いかに劣化を小さくするか(再現性を高めるか)
  2. 元の動画データと比較し、いかにデータ量を減らせるか
  3. 動画の圧縮時、再生時に、いかにマシンに負担をかけないか(ここが大変だと、動画エンコや視聴の楽しみが激減してしまう)
  4. 汎用性はあるのか(どれだけ優れたコーデックやコンテナを使っていても、PC、携帯、DVDプレイヤー等再生機の買換えで視聴できなくなっては意味が無い)

上記1~4を、全て理想的に満たす規格はなかなかありません。動画を再生するマシンのスペックも日々発展しており、「どの規格がベストなのか」は日々変化しています。これが、様々な規格の動画が氾濫している大きな理由です。

動画の規格を知ろう

PCや携帯、DVDプレイヤーで再生できるデジタルデータの動画には、前項のような理由で様々な規格があります。
現在主流と思われる動画の規格で主なものを挙げると、次の様になります。

動画部分1
ここで紹介するのは、完成した動画ファイルを保存、配布を目的とした物で、データ量は小さくなりますが、オリジナルの動画に比べ、劣化が起きています。また、CMカットやテロップ挿入、つなぎ合わせなど、後から編集するには向きません。

  1. H263…DivX、Xivd等がこの形式になります。低ビットレートでの再現性が高く、また再生時の負荷が軽いので愛用者が多いのが特徴です。
  2. H264…今後主流になると思われる形式です。低~中ビットレートでの再現性が非常に高く、テレビの地上波デジタル放送、携帯電話、ブルーレイ等次世代DVDなどで、現在どんどん普及しはじめています。再生時の負荷はかなり高めで、大きなサイズの動画をこの形式でエンコードすると、再生時にコマ落ち等が発生します。 MPEG4と呼ばれる場合もあります。
  3. MPEG2…中~高ビットレートでの再現性に優れ、DVD、地上デジタル放送に採用されている規格です。

動画部分2
上記が最終的にエンコする形式であるのに対し、以下は編集用のコーデックになります。画質の劣化が全く無いか、殆ど発生しません。そして、圧縮時・再生時共に負荷が非常に軽く、逆再生などもスムーズに行えます。

  1. MJPEG…モーションジェイペグ。読んで字の如く、動画の1コマ1コマをJPEG圧縮したもの。ファイルの大きさはかなり大きくなりますが、圧縮、再生とも非常に軽快。やや画質劣化はありますが、非常に優れた規格です 。デジカメの動画撮影部分にも、よく使われている規格です。
  2. 可逆圧縮コーデック…この形式で圧縮すると、画質に全く劣化が起きません(色空間の劣化は除きます)よく使われている形式に、Huffyuv、Lagarith losslessコーデックがあります。MJPEGに比べ圧縮、再生共にやや負荷が高く、圧縮してもそれほどデータサイズは縮みませんが、画質が劣化しない事は大きな魅力です。何度も編集、使いまわしをする素材はこの形式で保存される事が好まれます。

音声部分

  1. PCM…Windowsで古くから使われている規格で基本的に無圧縮。サンプリングレートとビット数で音質が変わる。(サンプリングレートとビット数で音質が変わるのはどのコーデックでも基本的に同じ)
  2. LPCM…CDやDVDで使用されている規格。PCMと同じで基本的に無圧縮です。
  3. MP2…MPEG1、MPEG2動画とセットで使われている事が多いです。DVDでもこの形式で録音されているものが多々あります。
  4. MP3…1998年末から爆発的に普及。今でも音楽ファイルはこの形式はかなり多いです。
  5. MP4…iTunesや携帯着メロで主に使われています。
  6. AC3・DTS…映画DVD等でよく使われている形式です。

上記は「コーデック」と呼ばれる動画や音声の圧縮・伸張に関わる部分の説明です。
しかし、動画を作成する場合、上記コーデックを、どのように保存するかを「別の視点からも」決めなければなりません。
具体的に説明すると動画データ・音声データを「コンテナ」と呼ばれる箱の中に格納する作業です。

  1. avi…古くからあるWindows標準の規格。幅広く普及しているが、インターネットブラウザとの相性が悪い、規格が古く字幕等に対応していないのがのが玉にキズ。Windowsの場合、編集ソフトの多くがこれに対応しており、規格が古いと言いつつも、動画編集する際にはこのコンテナを使うのが標準と考えた方が良い
  2. mov…こちらはMac標準の規格。ブラウザとの相性もよく、使えるコーデックの幅もAviより広い。Macの場合、動画編集、再生用、とにかく基本になるコンテナ
  3. mpg…動画部分はMPEG2、MPEG1のみ。音声部分はMPEG2、AC3、LPCM、DTSなどが使われる。
  4. mp4…上記「コーデック」でも説明した通り、これから主流になっていくであろう形式。動画部分はMP4ですが、音声部分はaac、ac3等、それなりに選択肢は広いです。
  5. flv…TouTube等に代表される、フラッシュ形式の動画コンテナ。中身はH263、H264が主流。YouTubeが証明した通り、Webページとの相性は抜群。
  6. 3gp…携帯動画によく使用されている形式。動画部分はH263かH264である場合が多く、音声部分はaccかmp3の場合が多い?
  7. wmv…近年のWindows標準の規格。それなりに機能は高いが、使用できるコーデックが少なく、また非可逆形式のコーデックが使用できない等、編集に難があるため為、動画エンコにのめり込む人ほど愛用者は少ない。
    普及度、Webページとの相性はかなり高い。

コーデックにも、コンテナにもMP4があったり、MPEGがあったりと、ややこしいですね。この辺りを頭の中でしっかり整理しないと、動画エンコを楽しむ事はおろか、解らない事を調べたり、質問したりも出来なくなります。「コーデック」と「コンテナ」の概念はしっかり覚えておきましょう。

自分なりの動画エンコの目的を持とう

前項で書いたように、動画エンコには様々な企画があり、「自分が何の動画を」「どのように保存し」「何で再生したいか」をはっきり決めておかないと、いくら動画エンコを勉強しても覚え切れませんし、進化していくテクノロジーに追いつく事は出来ません。

せめて以下のどれが自分が当てはまるのか、自分で決めてから動画エンコードの勉強を始めましょう。

  1. ソース(元動画)は何なのか
    1.TV(アナログ)を録画(キャプチャ)したもの
      (ソースコンテナはMPEG2かAVIが多くなる)
    2.TV(デジタル)を録画(キャプチャ)したもの
      (ソースコンテナはMPEG2かMP4が多くなる)
    2.DVカメラ、DVDカメラ、等、自分で撮影したもの
      (ソースコンテナはMPEG2かAVIが多くなる)
    3.携帯カメラを使い自分で撮影したもの
      (ソースコンテナは3gpかmp4が多くなる)
    4.DVDをコピーしたもの
      (やや特殊だがソースはMPEG2)
    5.ネットからダウンロードした動画
    (かなり特殊。ダウンロードした動画ごとにコーデック、コンテナの知識がないと、正しく扱えず頭を抱える事もしばしば。)
  2. どう使いたいか
    1.とにかく手軽に取り貯めたい(データ量の小ささ、保存のしやすさ重視)
    2.あとから編集したい(画質、操作性重視)
    3.永久保存版として残したい(画質、将来の互換性重視)
  3. 何で再生するのか
    1.PCならばAvi、DVD、wmv形式がお勧め
    2.Macならばmov、DVD形式がお勧め
    3.携帯、PSP等ならば(3gp、mp4等)自分の持っている再生機に合った規格に
    4.DVDプレイヤーならば、DVD規格に沿ったMPEG2形式に
    5.ネット上にアップするなら、アップするサイトの規格(YouTubeならflv、Livedoorblogなら3gpやmp4等)

まずは、自分が「何をどうエンコしたいのか」をはっきりと自覚し、当てはまる部分から検索して勉強してみましょう。インターネット上には様々な人が、その人なりの趣味や方法でエンコードを楽しみ、その具体的な方法を紹介しています。きっと今ここを読んでいるあなたと同じような事を考え、実行し、それを公開しているページに辿り着く事が出来るでしょう。

次回からは、私なりの動画エンコの、具体的な方法を紹介していきます。